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赫い糸
3
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管理人は紙を繰った様子もなく、301号室の履歴を直ぐに見つけ、そして、小さな文字を指でなぞって読んだ。
管理人によれば、契約期間は男が来た火曜日から1週間とのことだった。
やはり、借宿なのか。いや、そうか、ここはそもそもアパートホテルなんだ。ならば管理人が見ているのは契約書ではなく予約名簿だろうか。
(何から何まで履き違えている……)
ニルの血色は、話を聞くごとに青ざめていた。脈がズルズルと減退していく感覚も、覚えた。

「そうですか……しかし、今朝までは宿泊できたんですよね?」

「そもそも、契約が1週間の貸し出しだったからね。」
頬杖をついて、わざとらしく語尾に吐息をつけた。
ニルは、管理人のその答え方がよく分からず、眉間にシワを寄せた。
(1週間……火曜日……。今は何曜日だっただろう、男が出て行ったのが昨日だとしたら、今日は水曜日のはずだ)
ふと管理人の奥にあるカレンダーを見やったその時、管理人の示唆する言葉の意味が、可笑しいほどに理解できた。
そう、今日は“木曜“だったのだ。

しかしそれでは、ますますおかしいではないか。つまり男は、早出ではなく、長居していたことになる。
それも、1日過ぎている。ニルの頭の中は、靴紐のように絡まりはじめた。
つまり、管理人は何が言いたいのだろう。その真意を明らかにしなければならなかった。
ニルは一旦、呼吸を整えて瞼を閉じた。
「8日間いたんですね?」
暫くして男は口を開いた。
「契約が切れる当日に、延長してくれって頼まれたんだ。うちは他の客がつかえるから延長は基本しないんだがね、どうしてもって言うから、1日延長したのさ。」
余程退屈に煩っていたのか、根掘り葉掘りと、聞く前に管理人は自ら、まんざらでもなく饒舌な口調になり始めた。

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