全部キミのせい 深夜0時にノックの音がする。どうぞ、と布団にくるまったまま返事をすると、ランサーがやけに神妙な顔で部屋の中へと入ってきた。こんな時間に女性の部屋を訪れるということは、まぁ……つまりはそういうことなのだろう。
「そっちへ行っていいか」
「許可がないと来ないの?」
「ああ」
「……じゃあ、ダメ」
そんなことを言いながら、私はベッドの端に寄り、隣を開ける。彼を招くように片腕を上げ布団を捲ると、彼はなにも言わないままその空いたスペースへと入ってきた。
「ダメって言ったのに」
「そうか? ……そういう方が、好きなのか、お前」
そういう方ってどういう方? と首を傾げると、「するなって言ったことをして欲しいのかってことだ」と言って隣に寝転がり私を抱き寄せた。
「……うん、私はダメって言ったのに、って、言わせてくれる人が、好き」
ダメって言ったけど、ダメじゃないってわかってくれて、それを言わずに居てくれる人。
我ながらなんてワガママ。だけど私から好きだなんて言いたくないし、一緒にいたいなんて言えないし……例え、彼にも彼以外の人にも全部気づかれていたとしても。
「なら、今夜することは全部、俺のせいだって事にさせてやるよ」
「本当?」
返事の代わりに彼の唇が私の唇に触れる。彼にしては優しい口付けがくすぐったくて、小さく笑った私に彼はまたキスをする。
「……今キスしたのも?」
「ああ」
彼の手が私の頭を、首を、肩を、背を撫でる。腰に差し掛かったあたりでその手は止まり、引き寄せるように力が込められた。
「……ランサーに触れてるところが、熱くなるのも?」
「ああ」
その状態のまま触れるだけのキスが繰り返され、私が漏らす声もどんどん熱を帯び始める。彼はそれに満足したかのように私の名前を囁いた。
「…………ランサーのこと、こんなに好きになっちゃったのも?」
蕩けた思考のままそんなことを聞いて、彼の瞳を覗き込む。
「そうだな、全部俺のせいだ──だから、安心して好きになっていいんだぜ」
「……うん……」
優しくて愛しい人。私が言ったから、ただそれだけで私のためにそうしてくれる人。愛されてるんだって嫌でもわからせてくれる人。
いつもは恥ずかしくって強がって、大好きなんて言えないけど──
全部貴方のせいにさせてくれるなら、今夜くらいは素直に伝えても、いいかな。
clap!
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