Long StoryShort StoryAnecdote

やけあと


4.陸と歩夢


「ああ、さすがにあちーな」
 男は羽織っていたシャツを脱いだ。男の胸に背中を預ける形でくったりと頭を垂れる少年の顔を、上から覗き込む。
「おーい陸、生きてるか? 熱中症になんかなってないだろうな」
 言って、小麦色の細い肩を揺さぶった。引き裂かれたタンクトップは肩からずり落ち、もう衣服としての役目は果たせそうにない。スポーツサンダルに引っかかった下着とハーフパンツは、あらゆる体液でぐっしょりと濡れていた。
 行為をはじめて1時間以上経っただろうか。男の性器は未だヒクヒクと痙攣する陸と背面座位で繋がっていた。陸は虚ろな目を地面の一点に投げたまま、半開きの口から浅い呼吸を繰り返している。
 初めこそ必死に抵抗していたが、2度、3度と中に出されて諦めたようだ。泣き叫んでいた声もやがて啜り泣きに変わり、今や涙も枯れてしまった。薄汚れた頬には涙の乾いた軌跡だけが残っている。
「そろそろみんなのところに行くか」
 男は親猫が身繕いをしてやるかのように陸の首筋を舐め、強く吸った。日焼けをしていて目立ちにくいとはいえ、陸の肌のあちこちにはそうしてつけた鬱血痕が残っている。それは男が幼い身体をどう食い荒らしたかをありありと物語っていた。
 陸の脇の下に手を入れ立たせると、小さな尻からずるりと性器を引き抜く。陸は息を詰めて膝をつくとそのまま前に頽れた。
「あーあ、しょうがねぇな。腰立たなくなっちまったか?」
 そうさせた張本人だというのに、男はそう言ってせせら嗤った。長い快楽の地獄からやっと解放された陸だったが、楔を引き抜かれた時にもまた達したようで細い腰がビクビクと跳ねている。時折呼吸するように開く後孔からは、泡立った白い体液が溢れて引き攣った内腿を伝い落ちていった。
 男はスマホを取り出すと仲間達に連絡を取った。ちょうどそれぞれひと段落したところらしく、犯された少年達のあられもない姿の写真が送られてきた。
「はは、お楽しみで」
 男も陸にカメラを向けるとカシャリとシャッター音を鳴らした。それから少年を抱き起こすと自分の背中におぶって歩きはじめた。

 集合は歩夢を連れた男のいる小さな小屋となった。木々が多いため日陰になっており、比較的涼しい。
 陸を背負った男が扉を開ける前から、小屋の外にまで高い喘ぎ声が聞こえてきた。少女のようなその声の主は、甘えた舌たらずな嬌声をあげ続ける。
「あっ、あン、ああっ、や、あっ、気持ちぃ、気持ちぃ……っ」
 あぐらをかいた男に抱き縋り背中をトントンと叩かれている歩夢は、まるでむずかる幼児のようだったが、その後孔には根元まで男の性器を食んでいた。2人は延長戦に及んでいるようだ。
「すっかり仕上がってるな」
 小屋に入って来た男をのぼせたような顔で見上げた歩夢の表情は、最初に見た時のあどけなさが失われている。性の快楽に屈した雌の顔だ。しかし、男の背からヨタヨタと降りてきた友人の姿を認めると、その瞳に光が蘇った。
「り、く……? ぁ、えっ!? や、だっ、降ろして……!!」
「な〜にを今さら。おしとやかぶったってもう遅いぞ、歩夢ぅ!」
 言って、歩夢を犯していた男は歩夢の尻を割り開くように掴むとさらに激しく腰を振った。歩夢の身体が大袈裟なほど跳ね上がり、跳ねた身体は自重で落ちるとその度に深く男の肉竿を飲み込む。
「や、やめっ……ンあ"ぁッ!! あっ、あっ、やぁっ! やめ、止まってぇッ!!」
 歩夢がブルブルと首を振ると汗が飛び散った。どれほどこの行為に明け暮れていたものか、まぐわう2人はよく見れば汗まみれで、その肌はテラテラと光っている。
「さっきまでおねだりしてたのは誰だっけ〜? 自分で腰捩らせて、好いところ当ててきてっ!」
「やは、やめっ、やぁあ"ぁぁぁっ!!」
 歩夢は羞恥に顔を染め悲鳴をあげながらも、淫らな腰つきを止めることができない。何度も精液を注がれた身体はすっかり淫戯を覚えて、快感を得るための動きをしっかり習得していた。
「見られて興奮してんのか? じゃあお友達に 俺達のラブラブっぷり見せつけてやろうぜ♡」
「あ、あんッ!! は、やぁ、はずか、し……ンあッ!?」
 男が立ち上がると歩夢の両足はがっちりと男の腰に、細い腕は恋人のように男の首に巻きつけられる。2人きりの時は太腿を抱えられたために逃れられずに責められた歩夢だったが、男の腕が歩夢の腰に優しげに回されている今となっては、自ら望んで下半身を押しつけているのは明白だった。
「ゃああ"〜〜ッ!! だめ、だめだめっイぐ、イ"うぅっ──!! あっ! ああ"ぁン"──〜〜ッ!!」
 凄まじい絶叫をあげながらよがる歩夢を、陸は呆然と見ていることしかできなかった。
 本当にあの、歩夢なのか。いつも陸の背中に隠れて、授業中も先生に声が小さいと怒られていた歩夢。それが今は聞いたこともない声量と声色で、聞いたこともないいやらしい喘ぎを喘いでいる。陸はぞっとして身を竦めた。さっきまで同じように犯されていた自分もまた、こんな痴態を見せていたのだろうか?
 友人の乱れる姿を見ていると、陸も自分の身体に刻まれた感覚を思い出し、ズクン、と下腹が重くなった。たくさん中に出されたものは、今もその両足の内側を伝っている。気持ち悪いはずなのに、ドキドキと鳴っているのは心臓か、あるいは──下半身の脈動を感じるが早いか、気づけば陸の性器もまた興奮を示していた。
「よぉ、待たせたな」
 その時、一馬を胸に抱えた大柄な男が小屋に入って来た。元より3組それぞれが明らかに大人と子供の体格差だったが、異人種かのように身長も横幅もある男と一馬の差は最たるもので、さも軽そうに一馬の身体を持ち上げている。
「おチビちゃんか。少しは加減したのか? ……ってオイ、お前」
 指摘した男は呆れて苦笑した。ぶらんと垂れた一馬の両足は当然ながら地についていない。男は一馬をテディ・ベアの人形か何かのようにぎゅっと抱きながら、その後孔に性器を挿入したままここまで歩いてきたらしい。
「あんまり可愛いから離れたくなくてさ。なぁ一馬♡」
「は……はぁ、あ……ンあ……、」
 一歩進むごとに揺さぶられ突き上げられた一馬はその道中で何度も気をやり、ビーチサンダルをなくした片足の先は体液を滴らせながらピクピクと痙攣していた。とろんとした顔で涎を垂らしながらか細く吐かれる吐息には、淫らな絶頂の余韻が満ちている。
「だからってハメながら歩くやつがあるかよ」
「まぁちょっと休ませてあげないとかな」
 言って、男はゆっくりと腰を落として一馬の尻から性器を引き抜いた。「あっ」と声を発した一馬は地に足をつけたが、自分の身体を支えられずにその場に崩れ落ちた。そのまま胎児のように丸くなり、ビクビクと腰を跳ねさせる。寒さに震えているかのようにも見える仕草だったが、その身体はじっとりと汗ばんで情交の熱を帯びていた。
「り、ちゃ……ぁ、あ……、」
 譫言のように名前を呼ぶ一馬に、陸の心は締めつけられる。年上の自分が守ってあげなくてはいけなかったのに。
「か、ずま……一馬っ!」
 陸はよたよたと一馬の元に歩み寄り膝をついた。触れた頬は熱く、汗と涙で濡れている。陸は一馬の首筋や胸、内腿にも無数の鬱血痕を認めると、ギュッと拳を握った。
「ね……がぃします……」
「んー? どうした?」
 最後まで歩夢を犯していた男も、やっとことを終えたようだ。歩夢から果てた己の欲望を引き抜くと、陸の小さな呟きを拾った。残骸のように打ち捨てられた少年達の前で、3人の男はベンチにかけたり床に座ったりと寛いでいたが、項垂れた陸に視線を向ける。
「俺は、いいから……2人にはもう、手を出さないでください……っ」
「え! 凄いな陸、3人も相手してくれるって?」
「ヒーローみたいでカッコいいじゃん」
「セックスにハマって大人チンポ独り占めしたくなったのかもよ?」
 男達が嘲るのを、陸は唇を噛んで堪えた。
「じゃあまずは、一馬のことたっぷり可愛がった俺のチンポをしゃぶってもらおうかな? 歯立てたりしたら辛い思いするのはお前じゃないぞ」
 言って、大柄な男はいやらしく一馬の尻を撫で回す。敏感になった身体はそれだけでも感じてしまうのか、一馬は顔を歪めながらも腰を捩らせた。
「する! 何でもするから……だからもう一馬は!」
 陸は一馬の身体を庇うように覆い被さると、涙目で男達を見上げた。勇敢でありながら憐憫を誘うその表情に、男達は関興を唆られてニヤニヤと嗤う。
「何でもする、とは楽しみだなぁ」
「あー早くぐちゃぐちゃにしてやりてぇ♡」
「じゃあ早速頼むぜ」
 男はベンチにかけると自身の肉棒を握り、陸を手招きした。陸は言われるまま男の前に跪くと、恐々と指示を待つ。
「なぁ、陸の口使ってないよな?」
「ああ、ケツしかヤッてねぇ」
「じゃあチンポしゃぶってもらう前に陸のお口の中も味わっとかないとな。ほら、口開けな」
 陸は引き攣った表情をしながらも素直に従う。男は陸の細い顎を取り上向かせると、肉厚な舌を伸ばして陸の口腔にそれを捩じ込んだ。
「んぶっ……ふ、ンむっ……!」
 陸は苦しげに眉を寄せるも、よく躾けられた犬のように両手を前についた「お座り」の体勢で、されるがまま口内を舐め回されている。ボロボロの衣服からはだけた胸に男の手が伸び、乳首を撫でられると鼻から甘い吐息を漏らした。
「ふっ……んふ……、ん、んんっ……ン、」
 舌を絡められしばらく貪られた後、やっとのことで唇を解放された陸はどこか恍惚とした表情で息をついた。が、男は休む暇も与えずに陸の頭を掴むと、おもむろに自身の股間に押しつけた。
「ほら、しゃぶれ」
「ひっ……!」
 目の前に突きつけられた禍々しいものに、陸の喉から引き攣った声が漏れる。陸は自分のことを犯した男の性器さえ、ここまで近くでは見ていない。大柄な体躯に見合ったそれは見たこともないほど長く、何より太さがあり、まだ完全に勃ち上がっていないというのにすでに硬度があった。こんなものが一馬の身体を、そしてこれから陸自身を──それはほとんど凶器と呼んでよかった。
「早くしろ。後がつかえてる」
 男の威圧的な声に、陸はビク、と身体を強張らせながらも薄く口を開いてその先端に顔を寄せた。ゆっくりと顔を傾け、恐る恐る舌を伸ばす。
 ピチャ……ピチャ、ちゅ、ちゅぷっ……はぷ、ちゅう……
「ああ、好いぞ……焦らされてるみたいで悪くない」
 知識など当然なかったが、陸は男の亀頭部を舐めると小さな口の中に剛直を受け入れていった。その行為は力ずくで乱暴に犯されるよりも屈辱的で、黙って行為を続けながらも涙が溢れてくる。陸は少しでも気を逸らそうと鼻呼吸をやめ、目を閉じる。
 男に言われるまま懸命に舌で裏筋をなぞり、頭を前後に動かして、男の性器を舌の上で転がした。口はほとんど全開と言っていい。自分の手首と同じくらいの太さのあるそれが、口内でどんどん硬く、大きくなっていく恐怖。それはこめかみに銃口をつきつけられながら、自分の墓を掘る行為のようだ。
「なかなか器用じゃないか、陸。けどまだまだだな」
「ん……ぶっ!? ぐ、がっ……!!」
 男は陸の頭を掴むとさらに喉奥まで性器を突き挿れた。陸は吐き気が込み上げるのをなんとか耐える。呼吸に困って鼻水が垂れてきた。涙と鼻水と汗で顔をぐちゃぐちゃにしながら、陸は玩具のように頭を揺すぶられて何も考えられなくなる。顎が痛い。
「よし、このまま1発出す、出すぞ……全部飲めよっ!」
「んぶっ、ん、ン"ンッグ、」
 いかな従順だった陸も、この激しい動きにはさすがに耐えられず、男の太腿に両手を押し当てた。しかし男にがっちりと頭を掴まれてはささやかな抵抗にもならない。口蓋垂が上がったままになるほど、喉奥の粘膜を汚らしいもので擦りあげられる。
 どうして──不本意ながら、肉体を嬲られる間にも自身が感じてしまう箇所を把握しつつあった陸だが、ただ相手が快感を得るだけのこの行為でも、股間が熱くなってしまうことに戸惑っていた。口内で逞しくなっていく肉棒、その雄の象徴に圧倒的に屈服されている自分のひ弱さ。
 陸自身に自覚はなかったが、運動神経もよく兄貴肌の陸は、学校におけるヒエラルキーの上層にいた。同級生からも教師や大人からも一目を置かれ、今までほとんど罰らしい罰を与えられたことがない。弱き者を助けてきた陸は今、自分が理不尽に虐げられる存在になっていることにある種の興奮を感じていた。
「ンふ、ウ、ウッ、ングゥッ──!!」
 ビュル、ビュグ、ビュルルッ──〜〜ッ!!
 喉奥に生暖かいものが溢れる。行き場のないそれはほとんど自動的に飲み込まざるを得ず、細い喉がゴクゴクと苦しげに動いた。陸の手はいつの間にか男の下腹を押さえていたが、その甲斐もなく唇は濃い茂みに埋められ、男の性器の根元まで受け入れさせられているのが傍目にも明らかだった。
「ふ〜〜……、なかなか好かったぞ、陸」
 男に掴まれていた陸の髪はぐちゃぐちゃだった。男はその髪を整えてやるように撫でると、ゆっくりと性器を引き抜く。唇から性器が離れる瞬間、粘性の高い白い糸を引いて、陸の口からボタボタと飲み込みきれなかった精液が溢れた。ゲフ、と息を漏らした直後、陸は嘔吐してしまう。吐瀉物はほとんどが精液と胃液の混ざったものだった。
「あーあ、せっかく飲ませてやったのに」
 呼吸困難を解かれた陸は肩で息をしながら、口の中の気持ち悪さを少しでも逃がそうと唾を吐いた。
「お前、このまま陸ヤれんの?」
 最初に陸を犯した男が、たった今、陸の口を蹂躙した男に問う。体躯のいい男は射精したばかりの性器を扱くと、得意顔で頷いた。
「バケモノかよ……一馬もさんざんヤッた後だってのに。じゃあその間俺、こっちの子と愉しむかな」
 そう言った手が歩夢へと伸びる。歩夢はほとんど眠っているかのように床に伏せていたが、薄く目を開けると細く息を吐いた。
「え〜、俺もう歩夢とはカップル成立してるんですけど。なぁ、歩夢?」
 先まで歩夢との行為を楽しんでいた男が問うと、歩夢は曖昧な表情で不安気な視線を返す。
 さんざん焦らされ、自ら性交を望むように仕向けられたからというのもあるが、誰も見ていない場においては歩夢もこの男との行為を受け入れていたために、他の男に犯されることへの恐怖が勝る。もし彼が助けてくれるのならという、救いを求めるような目だ。
「自分の目の前で恋人が他の男に犯されてるの見るのも、それはそれでクると思うけど?」
「ネトラレってやつ? 俺そのヘキあるかな……わかんないけどとりあえず見とくわ」
 あっさり引いた男は、一馬を人質にするかのようにその近くのベンチに座る。
 大柄な男は四つん這いになって嘔吐している陸の背後に回ると、その後孔に猛ったままの性器を押しつけた。強張る陸の顔、次の瞬間にはその表情が歪む。
「ア"ッ……!! ぁ、ひぐうっ……!!」
 先まで犯されていたとはいえ、この男の性器は規格外だ。息を詰めたために歪んだ顔はみるみる真っ赤に染まっていき、やっと息を吐いたと思うと高く鳴いた。
「はぁ、あン"ッ……!! ぅ、そおっき、……ひっア"!!」
「自分の身体が軋む音、聞こえるんじゃねーの? あー、キッツ……もうほぐれちゃってるかと思ったけど全然処女じゃん」
 男はそう言いながらゆっくりと、けれど確実に腰を進めていった。男の指摘通り、陸は自分の肉や骨があげる悲鳴を聞きながら、それに代わるように喉を震わせた。
「人を粗チンみたいに……お前のがバカデカいだけだからな! なぁ歩夢、俺のペニスでも気持ち好くしてやるからな〜」
 猫撫で声で言いながら、男は歩夢と正対すると細い腿の間に自分の性器を挟ませる。歩夢のすらりとした足は肉づきが薄かったがその肌質は滑らかで、ぐっと押しつけ閉じさせた股の間で性器を扱くと男は喘ぐように口を開いた。
「ああ〜〜スベスベで気持ち好いっ! 挿れるまでの期待高まるわ〜」
「ゃあっ……、おに、さんたすけてぇ……!」
 歩夢は顔を紅潮させ上擦った呟きを漏らした。その細い指先は、先に歩夢と交わった男の方へと伸ばされ宙を掻く。
「あ、歩夢〜……、可哀想だけど可愛いっ」
「歩夢、こんなこと言ってるやつに懐いてんのか? なおさら俺のオンナにしてやりたくなったぜ」
 男は不敵に嗤うと、昂ってきた性器を歩夢の後孔に押しつけた。片足の太腿を担ぎ上げ大股開きにすると歩夢は這って逃れるべく俯せになった。しかし男はそこに身体を割り込ませ、燕返しの体位で一気に奥まで突き上げた。
「あン"ンッ──〜〜!!」
 歩夢はガクガクと細腰を捩らせる。廃れた小屋の中で足腰が立たなくなるほど前から後ろから焦らすように犯された歩夢の身体は、すっかり快楽に弱くなっていた。
「あ、はっ……! ぃひいっ……!!」
「俺は俺のやり方で好くしてやるよ!」
「いやっ! やめ、ンぎっ……! あっ、いや"ぁああぁ──ッ!!」
 男は初めからトップスピードで肉と肉をぶつけるように腰を振り、直腸の入口から奥までを激しく擦り上げ責め立てる。
「ひぃっ!! はひンッ!! あ、ゃああ、あーっ!!」
「ゆーっくり焦らされて、自分から腰振ってたんだろ? けど残念、俺は主導権譲ってやらねーからなッ!」
 男は闘争心のようなものを胸に燃やして歩夢の白い尻をバチンと叩いた。
「──ッ!! ア"ッ──、ォ、ぐぅっ……!!」
 歩夢は喉を仰け反らせて濁った喘ぎを溢す。続いてガツガツとピストンされると、涙を流しながら絶叫をあげた。
「ひあ"ぁぁああっ!! ああっ! ああ"っ!! ゃあ"んっ! あふっ、アひぃい"ぃぃぃ〜〜ッ!!」
「ああすっげ、まだ全然キツじゃん」
「ああっ! あひっ、そこ、い、いひィ!」
「どれ、この辺か?」
「あ"あ〜〜ッ!! だめ、あぐ、う、うううっ!」
「歩夢の好いところ、カリ首引っかかってヤバいわ、これ……!」
 同じところを執拗に責められて歩夢は達したが、1人目の男に犯された時点でほとんどの精を出し尽くしてしまった性器はピクピクと震えるだけで何も出なかった。切なげに眉根を寄せると舌を突き出し、声なき悲鳴をあげながら内腿を緊張させる。男にはその締めつけも堪らない。
「は、はぁ、はうう……っはぁ、んんっ、」
 歩夢は熱に浮かされたように喘ぐと、自分で胸の突起を弄った。ほとんど無意識のようで、ハッとすると手を離したが、男は見逃さない。
「なんだ、こっちも可愛がって欲しいんだ?」
「あ、ちが……きゃあぁっ!」
 じゅぱ、と卑猥な音を立てて乳首を舐められると、歩夢は高い悲鳴をあげた。男はむしゃぶるように吸い、ぢゅうぢゅうと音をたてる。
「やぁっやだっ、やめてぇっ!」
「ンンッ、ちょっと腫れちまって……あーでもすっげぇプリプリでエロ……っ、」
「ああっ、あっ! あンッ……!! やぁっあ、ア"ッ!!」
 下腹の切ない感覚を訴える歩夢を慰めるように、男はさらに歩夢の身体を折ると上からのしかかるような体位になった。細い足首を操縦桿かのようにがっちり掴むと、全体重をかけて歩夢の尻に性器を突き込み激しくプレスする。
 ズチュズチュズチュズチュッ!!
「おら歩夢、どうだっ!」
「あ"ッ!! ああ"〜〜っや、あ、あ"ァンッ!! はや、いィ……!!」
 握られた足の爪先は開ききり、歩夢がずっと絶頂していることが伝わってしまう。
「そぅら、種付プレスで連続イキしろっ!歩夢のドスケベマンコ、奥までザーメン漬けにしてやっからしっかりケツ締めろよ! おら、おら、おらっ!!」
 バチュンッ、バチュンッ、バチュンッ!!
「ギィいぃぃィ──〜〜ッ!!」
 男の律動がさらに強さを増し、少年の細腰が壊れるのではないかというほど地に押しつけられる。長い肉棒がニュポニュポと卑猥な音をさせながら、小さく幼い肛門を出挿りし、熱く蕩けた直腸が鳴くほど激しく擦りあげた。
「はひっ、ひぃいンッ……!! あひ、あ!! あ、あ"っ、あ"あッ〜〜!!」
「そら、元カレとお友達に歩夢の派手な潮噴き見せてやろうぜ」
「ッ──!?」
 男は歩夢を後ろから太腿を持って抱え上げた。不安定な体勢に歩夢も必死で男の肩に手を回す。
 歩夢は大きな目をさらに見開いた。目の前に広がる光景──四つん這いになって巨体に犯されている陸、ベンチの脇で丸くなっている一馬、その隣で固唾を飲むようにしながら、けれど興奮の眼差しで歩夢の痴態を見守っている男。そして今、まさに犯されている恥部を彼らに見せつけるような体位で辱められている自分。
「い……ゃいや、見な、でっ……! やだ、見ちゃやだぁあっ!!」
 その叫びも虚しく、男の剛直が再び歩夢の後孔を深く貫く。
「ヒッ──!!」
 歩夢の弱いところ、好きなところを熟知したように、先までの経験を上書きするかのように強く。
「や"ぁッ……、あ"アぁぁあ"ァ──〜〜ッ!!」
「は、見られて興奮してんじゃねぇか。雄膣ビクビクさせやがって……!」
「や、だイぐ、イッぢゃあ、あ、ア"あぁっ!!」
 下腹が切なくうねる。自分の身体が昂っているのを実感する恥ずかしさ。見られたくないのに──。
 歩夢が殊更気にしたのは陸でも、一馬でもなく、歩夢を最初に犯した男の視線だった。
 無理矢理組み敷かれ、もちろん想い合ったわけでもない。それなのに他の男に犯される姿を凝視されると彼を裏切っている罪悪感のようなものに駆られ、かの男が本当に自分に愛情を向けていたのではないかと錯覚する。じっと見つめるその黒い瞳の奥に嫉妬の炎を、お前は俺のものだという情念を想像し、ひどくされればされるほど興奮してしまう。
 もはや正常ではない思考で歩夢は揺さぶられ、熱視線に焼かれるかのように身体を熱くした。
「あーっ! あ、あ"ッ!! たすけでっ、いや、いやいや中はだめ、ぃや"ぁあ"ああぁ──〜〜ッ!!」
 ビュルビュルッ、ビュグッ──〜〜ッ!!
「おおっ、おふっ……! う、うぐ……ッ!!」
「ああ"っ〜〜!! はぁあ"うンンッ……!!」
 ドクッ、ドクッ、ドクンッ、ドクンッ──
 男の吐き出す精液の飛沫、その勢いをつぶさに感じとったかのように歩夢はぞくぞくと全身を震わせる。「彼」の目の前で、汚された──歩夢の性器からも透明な飛沫があがった。
「はひっ……ぁ、ひン……、」
「ははっ、すっげぇイき方。これで歩夢は俺のオンナだ」
「ひ、ひうっ……、あ、あっ……ゃ、あ……」
 歩夢は喘ぎながら涙を流したが、その後孔から溢れる白濁の方がよほど大量だった。
 歩夢の快楽を上書きした男にしてみれば、肉体的な満足よりも人のものを奪った達成感が強い。繋がったまま床に仰向けに寝ると、逃げられないように歩夢の腰を掴み自ら腰を振るように仕向けた。2人の男に奪われた歩夢の肉体は、歩夢の心を無視して快楽に溺れる。
「あぁン"ンッ……!! だめ、だめぇっ、ンぃ、はひっ、こんな、しちゃ……ひぃいいンッ!!」
「イヤイヤ言ってるけど下のお口は素直だよなぁ! 元カレの形忘れるくらい突きまくってやるからなっ!」
「ああ……俺の歩夢ちゃんが〜……」
 傍観していた男は淫魔のように乱れる歩夢の姿にそう溢したが、欲望の象徴はすっかり元気を取り戻していた。自分が最初にものにした少年が犯され屈服させられる姿に興奮したのだ。
 歩夢の姿を見ていた一馬は恐怖で震えた。あの行為に感じたもの、痛みや苦痛や恐怖、それに加えて確かにあった快楽──それを隠しきれずに反応してしまう歩夢の身体。その表情はもはや一馬の知る友人ではない。怖くて堪らないのに、歩夢は自分の下半身がムズムズするのを自覚していたのだ。
「一馬、歩夢を寝取られちゃった可哀想な俺のチンポ、慰めてくれるだろ?」
 男は他の者から見えないように一馬を自分の足の間に隠すと、ゴソゴソと股間を寛げた。聳り立つそれで、一馬の頬を叩く。怯える一馬の表情を愉しみながら、その小さな唇に性器を押しつけた。

2023/04/27


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