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灰色の瞳


第2話−2


「は、……はぁ、……はっ……おに、さん……僕、これ、恥ずかしい……っ」
「いつもより感じてるね……可愛い」
 やや力をなくした少年のシャツを捲り上げ、裾を荒い呼吸を繰り返す口に噛ませる。少年は見えず、聞こえず、喋れない状態にされると身を投げ出し、供物のように両手を広げた。男はその細い手首を掴むと、薄い胸に顔を埋める。
「んむぅーっ! んんっ、んむ、んぎぃっ」
 少年の背中が浮く。男が乳首にしゃぶりついたのだ。
 ちゅぱ、むちゅ、と激しく音を立てるが少年には聞こえない。男は唇で尖った実を吸い、舌で絡め取るように虐め、前歯で甘噛みする。白い胸が胸骨を浮かび上がらせると、今度は反対の乳首も同じだけ。
「んふっ、ふぅ、んっ! んん、んっ、ん、ん、ンッ!」
 両方を十分に責め立てると、少年の胸は激しく上下し、その上で乳首は真っ赤になってピンと勃った。
「身体で覚えたことは、君も目の奥で想像できるよね」
 もちろん、少年の性器も再び硬くなっている。
『やぁんっ、くすぐった……あは、あははっ、あはんっ!』
 ヘッドホンの音声は別の日のデータに切り替わっていた。小説の読み聞かせをしながら乳首に触れ戯れているうちに行為に雪崩れ込んだ時のものだ。
『あっ……も、ダメだよぉまだ話の途中……んあっ! やぁっ!』
 この時は少年が少し抵抗を示して、やや強引にしたのを思い出した男はその興奮を下腹に宿す。
『やだっ、やめてっ! あんっ! 今はやだぁっ!』
「おにいさん……僕、変だよ……っ」
 返事の代わりに頬を撫でてやる。少年の顔は上気し、髪の生え際にはしっとりと汗をかいていた。
「自分の……声聞いてたら……はぁ、お腹の奥熱くて、早く……おにいさんに来て欲しくて、じんじんって痺れて痛いみたい……」
 声に涙が混じる。少年は自分の臍に指を挿れてクリクリと弄ると、それにも感じたのか甘い声を出しながら腰をくねらせた。もう一方の手で尖った乳首を摘まむ。男が強要したわけでもないのに、少年は無意識に自慰を始めていた。
「くぅん……あ、はぁ……っ」
「ああ、自分からそんなに人を煽って……悪い子だ」
 男は少年の頬を撫でるとくちづけ、舌を挿れた。少年は乳飲み子のようにそれに吸いつき、必死に男を求める。
「ふぅ……ん、んくっ……んんっ!」
 幼い性器からトロトロとカウパーが溢れた。少年の我慢は限界のようだ。男はクスと笑うと、少年の尻を持ち上げた。離れ難そうに伸びる舌を退けると、これから自身を受け入れてもらう場所の扉を舌でノックする。
「あっ!」
 少年はそれを敏感に感じ取るとビクンと震える。続けて男はピチャピチャとそこを舐り、ローションを手の平に伸ばすと丁寧にほぐし始めた。
「あっ、あ、あ、あ、あん! おに、さんっ」
「ほら、自分で足を押さえて」
「んっ……ふぅ、ふっ……んんっ」
 初めは中指で、続いて人差し指も増やす。関節を曲げると中の熱くぬめった襞がヌチュ、といやらしく指の腹に吸いつく。
『やあぁぁぁ――っ! あは、あんっ! だめっ、まだだめだよぉっあ、あ、くるし……むり、いや、あはぁンッ!!』
 あの時は抵抗する様に興奮して、慣らすのもそこそこに挿入してしまったんだっけ。可哀想なことをしたと反省しながら、男も焦り始める。
 早く、早く少年の中に入りたい。この指を誘う熱くてトロトロのうねりを突き上げ、擦り、そして時折意趣返しのようにきつく締めつけてくるあの天国のような場所に。
「ひぃっ……ひんっ、ひ、あぁ……っ!」
 舌と指を巧みに使って愛撫される間、少年は自分がいつもよりやや強引に犯されている時の声を聞く。
『らめぇっ! いだい、いだ、ぃよぉっ! あっ、あっ、らめ、いやあぁ――ッ!!』
 それでも声は甘く、確かに快楽を得ていた。この時、少年は玄関で犯された最初の時のことも思い出していたのだ。男と合意の関係になってからは、恐怖はスリルという興奮のスパイスになった。
『ひどくしないでぇっ! 痛いのや、怖いのやだぁっ! ああっ! あんっ、あっ、あはぁっ!』
 今は乱暴でもいい、強引でもいいと思うのにあまりにも丁寧な施しに、少年は叫び出しそうだった。
「早くぅっ……もういいよぉっ! 来て、僕のお尻におちんちん挿れて、おにいさんでお腹の中いっぱいにしてっ……!」
 少年の目元を覆う布に涙が滲む。男はそれを潮に、すでに漲っている自身を取り出すと軽く扱き、挿入を待つ少年の密やかな秘部に押し当てた。
 ズブッ、ヌプヌプッ!
『「あ"あ"あ"ッ――!!」』
 ヘッドホンの音声と現実の悲鳴がシンクロした瞬間だった。 
 ぬぷっ、ぬぷっ、みちみち、と濡れた狭い内壁を、男の剛直が容赦なく押し開いていく。
「あぁ……っ! あっ! あんっ! あ、あ、あんっ、そこぉ……っそこ、そこっ、あ、もっと、もっと強くしてぇえっ!!」
 少年は涎を垂らしながらハァハァと息巻き、男の抽挿を助けるように腰を捩る。
 ずぷっ、ずぷっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ、プチュ、プチュ。
 カウパーが中に出てローションを掻き出し、結合部からトロトロと溢れる。
 やがて少年のツヤツヤとした玉のような尻と男の肌はピタと密着し、結合部は深い茂みに隠された。少年の呼吸が少し落ち着くのを待ってから、尻を軽く叩く。
「偉いね。全部入ったよ」
 少年は合図を理解したのかコクコクと頷くと、
「……ゆっくり、動いて……?」
 恥じらいながら男に命じた。
 ぬる、と引き抜き、再びぐぷ、と突き挿れる。ぬる、ぐぷ、ぬる、ぐぷ。ゆっくりとした律動をじょじょに速めていくと、少年の呼吸は喘ぎに変わっていく。
「は、は、はぁ、あーっ、あぁっ、あー……っ、」
 白い目隠しの上で眉が八の字に寄った。開きっぱなしの唇の端からは唾液が溢れ、少年の顎や首を伝う。
「ああっ! あっ、あンッ! あ、あ、あ、はぁ、は、あう、うっ」
 ぐちゅっぐちゅっぬぷっぬぢゅっぐりっぐりっ、ごりごり、ごん、ごん、ごんッ。
「ひ、ひはぅ、ンッ! あ、あ、あ、」
 待ち望んでいたものを受け入れたそこは、熱くうねりながら男を快楽へと誘う。愛して、もっといたぶってと言わんばかりに男の性器に絡みつくそこは、突き上げた瞬間には快感に痙攣し、抜こうとすれば「待って」と引き止めるようにきつく締めつける。
 男は無我夢中で少年の肛門を犯す。性行為にはとても釣り合わないような体格差を自覚しながら、自身のものが少年の華奢な身体の奥深くまで受け入れられていることに感激する。
「はぁ、はーっ、ああ、すごい……ッ、かわいい、かわいい、かわいい!」
「あッ! あ、あ、あ、あうっ、あんっ! きもち、きもちぃっ……ん"ん"〜〜〜ッ!!」
 ごっごっごっ、と同じところを連続で突けば少年の全身がガクガク震えた。
「は、はぁッ!! あ、そこ、そこ、好き、好きぃッ!!」
「……ここ?」
「ッ――〜〜!!」
 ゴヂュッ、と中に嵌めると男は腰を止めた。ぎゅうっと少年を抱き締める。すると少年の中は男の性器を抱き締め返すかのようにきゅうっ……と狭くなった。ぞくぞくと駆け上がる快感に抗うように、男は少年の震えるか細い腰を掴むとにゅぼん、と強引に性器を引き抜いた。

2018/04/15


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