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灰色の瞳


第2話−3


「あ"ッ!?」
 受け入れた男根をしっかりと食い締めていた少年の腸内は、突然の喪失感にビクンビクンと痙攣し、男を求めて暴れ狂う。
「が、ひっ……!? にいひゃ……やら、なんで……っ!? や……っやめな、で……今、やめたら……ッ!!」
 少年は背中を浮かせてガクガクと痙攣する。ぴしゅ、と射精し、後孔からも汁を垂らした。
「あ、あ……ッ! やら、やぁッ……!!」
 絶頂を迎えようとしていたのに突然放り出された身体は、快感のやり場を失い乱れたシーツの上で切なくのたうつ。
「いやっ……ひとりにしないで、置いてかないで……ッ!」
 少年はガクガクと全身を震わせながら両手を宙に彷徨わせた。
 男はしばしその姿に見惚れる。男の方も快感にはち切れんばかりになった性器をビキビキと震わせながら、自分で自分に我慢を強いてその苦痛を楽しむ。
 巨大な性器は血管が浮き立ち、つい先まで少年の中を虐めていた剥き出しの亀頭部は赤くぬらぬらと光っている。このグロテスクな凶器が、天使のように無垢な少年を快楽の沼へと突き落とすのだ。男は罪悪感と背中合わせの愉悦に酔いしれる。
「おにいさん、どこ……? お願い、やめないで……、おにいさん? ……どこにいるの?」
「いるよ、ここに」
 男は少年の伸ばした手を掴むと乱暴に後ろ向きにした。
「や、何……っ、おにいさん、おに……あッ!?」
 少年を膝立ちにさせると後ろから両手首を掴み、高ぶった一物をズブッ――と一突きで押し込む。
「あ"あ"あ"ァ――ッ!!」
 迸る絶叫。しかし少年の後孔はぐっぽりと男の性器を飲み込み、待ち構えていたかのようにぎゅうぅ……っときつく締めつけた。
「やあ"あ"あ"っ……!! あ"っ……!! あ、あ"っ……!!」
 少年は舌を突き出し、濁った声で喘ぐ。
「くぅうッ……!! ああ、すごいこの締めつけ……!!」
「ひっ……い、あ"あ"あ"……ッ!!」
 そのまま勢いよくピストンを開始すると、少年は頭を揺さぶり背中を反らせて連続で絶頂した。
「きゃあッ――!! あああ! あ"あ、あ"、あ"、あ"、あ"ぎぃッ――!!」
 男を受け入れた少年の腸内は快感に蕩けて、自身が味わっている快楽を返すかのように熱く、男の性器をうねうねと包み込んだ。腸内全体が性感帯になったかのように、ビクビクと小刻みに痙攣する。
 男も負けじと歯を食い縛り、少年の前立腺を暴き、そこを何度も、何度も突き上げた。
「あ"、ひゃぁンッ!! あ"がッ!! 待って、待っ……! そこはや、もっと、もっとゆっくり、」
「ダメだ、待てない!」
「ひぁ、ひやぁあッ――!! まってまって、そこはだめ、だめぇっ……あ"あ"あ"ぁ〜〜〜ッ!!」
 少年の弱いところを見つけると男の突き上げはガツガツと激しくなり、少年の性器もその律動に合わせてぶるんぶるんと上下する。
「お"、お、あぐっ、〜〜〜ッ!!」
 ドチュッ、と一際強く奥を穿たれた少年はガクガクと痙攣し再び射精する。
 ごつ、ごつ、ごんっごんっごんっ、ごちゅんっごちゅんっ!
「あ"がっ! はっ、はうっ! あ"、あ"、あ"っ! 奥っ、しゅご、い! あはっ、あっ、当たって、ゴリゴリって、きもぢぃいっ!!」
 前立腺を虐めるように嵌めて腰を揺すり、腹を揉むと少年は激しく絶頂した。
「ひぎぃッ――!! やあ"あっ、あ"んっ!! にいひゃ、にいひゃらめっぼくまらイッ……! いっ、て、いてりゅ、イ"ッ――い"ひぃ――っ!!」
 男は少年の手を離すと腰を掴み直し、四つん這いになった少年を後ろから激しく責め立てた。弱った子犬に無理矢理交尾を強いるかのように腰を引き寄せ、それと同時に突き上げ、交わりはいっそう深くなる。
『キャアア――ッ!! ア"ぁ――ッ!! ぎぁ、ぎっ、ぎぃ――っ!!』
 ヘッドホンの中も悲鳴でいっぱいだ。あの時と同じ体位で責められて、心も身体も快感さえも同調していく。
「イっでりゅ、イっでりゅぅッ! あ"あ"ッ、あ"、あ"、あ"、あ"ぁッ――!!」
「イく、イく、イく、僕もイくよっ、イッ――!!」
 男の腰がピタと密着すると、少年の腹の奥に精の迸りが叩きつけられた。
 ビュルビュル、ドビュッ、ビュグッ――!!
 それでも収まらず、どくっ、どくっ、どくっ、と止まらない射精は少年の腸内を熱く満たしていく。止まらない――。
「がひっ……!! あ"ぁ……ッなか、おくにぃっ、あちゅいの、れてうっ……!!」
 少年の内臓はじょじょに拡張されて「奥」だったラインはどんどん深まっていた。もうこれ以上はいけないと思うのに、柔らかい身体はどこまでも男を受け入れてしまう。
「は、はひっ……ひ、ぅ……っ!!」
 びゅぐ、びゅぐ、びゅぐっ……。
 少年は爪先をピンと伸ばして痙攣し、腹の奥の射精をすべて受け止めた。膣にされた少年の腸内は悦ぶようにうねり、その飛沫をじゅん、じゅん、と吸収していく。
 男が性器を抜くと少年の肛門は閉じきらずドロドロと白い粘液を大量に溢れされた。ただの排泄器官のはずのそこは、男との行為によってすっかり性器に作り替えられてしまったのだ。
「あ、はっ……おに、ひゃ……、」
 呼ばれて、男は少年の耳からヘッドホンを外す。それから目隠しも外してやると、長い睫毛は涙に濡れ厚い束になっていた。少年は目を開く。キラキラと宝石のように光る灰色の瞳が、何も見えないなんて嘘みたいだ。
「おに、さん……声、聞きたいよ……寂しいよ、1人でしてるみたいで……ねぇ僕、おにいさんとしてたんだよね……?」
 さんざん欲望を吐き出された下腹を少年の幼い手が撫でる。まるで自身の懐胎を確認するかのように。その子種の主を問うかのように。
「あ……ごめん、ごめんね」
 まだ快感の余韻に震える少年の小さな身体を抱き起こし、ギュッと胸に抱き締める。
「1人にしてごめんね……っ」
「ず、と……いっしょ、いて……? ね、僕の中に何度でも入って、いっぱいおにいさんの熱いの、お腹の中にちょうだい……? そしたら、僕の真っ暗な世界にも、光が見える気がするから……」
 少年は涙で瞳を潤ませながらも微笑む。
「ね……今、おにいさんも笑ってる……?」
「うん……うん、当たり前だろ。笑ってるよ。愛してるよ」
 男は少年の滑らかな頬を撫でる。少年はその手に手を重ねてすりすりと頬ずりした。
「アイ、してる……アイしてるね、僕達。これからも毎日、ずっといっぱい、アイしようね……」
 少年の瞳がトロンと細められたと思うと、手がパタリとシーツに落ちる。どうやら疲れて眠ってしまったようだ。
 男は泣いていたが、自分の返事が嘘にならないよう一生懸命笑顔を作ると、少年の唇にくちづけた。
「君に世界を照らして貰ったのは僕の方なんだよ、」
 少年の名を呼ぶ。ぽ、と胸に火が灯る。男は少年の胸に耳を寄せると、その心音に身を任せた。呼吸が浅くなっていく。
 眠りという深い闇に落ちていきながら、2人は微笑んでいる。さながら、同じ夢でも見ているかのように。

2018/04/15


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