Long StoryShort StoryAnecdote

僕のクロ


第4話−1


「クロは前のご主人様によく躾けられていたみたいだね」
 男の剛直が、クロの小さな尻の割れ目に押し込まれる。ゆっくりとした挿入ながら、そこは驚くほど広がって太く長い性器を深く飲み込んでいく。
「はぅ……ン、」
 本物の猫のように四つん這いにされて、後背位で肛門を犯されたクロは切ない悲鳴を漏らした。
 上から見下ろす男には、自分の性器が少年の身体のどこまで届いているかもわかるだろう。薄い皮膚に浮いた背骨、男の手に押さえつけられた細い腰と、その尾てい骨から生えた黒い尻尾がくねくねと揺れる。
 男の律動に反応して締めつけると、男が喉の奥で嗤った。
「はうっ……! う、ひっ……!」
 ゆっくりとした動きに、クロは身体を強張らせ喉を引きつらせる。
「わたしのものを全部飲み込んで……強欲な」
「ああっ……!」
 男はまた、わざとゆっくり性器を引き抜く。

 男に拉致されてからすでに5日。トランクに詰め込まれてこの屋敷に来て以来、昼も夜もなく男に抱かれ、クロの身体は快楽漬けにされていた。
 クロの本来の主人の行為も自分本位ではあったが、性急でせっつくような勢いは、身を任すにおいて気持ちが楽だったのだとクロは今になって思う。
 この男は、どこかクロの調子を伺うように、試すように快楽を引きずり出してくるのがクロには恐ろしく、恥ずかしくて堪らなかった。
 極太の性器を食んだクロの内壁は確かにしっかりとそれを捕えて、逃すまいとするかのように悩ましく締めつけている。
「ひにゃっ……ああっ……!」
「クロ……ああ、小さくて非力なのに、ここはこんなに力持ちなんていけない子だね」
 言葉の通り、犯されたところは抗いようもなくきゅうきゅうと収縮する。強請るような動きは侵略者も、そしてクロ自身をも淫猥な快楽に貶める。
「ひっ……ひゃめ……れすっ……こんな、……あっ!」
 ぬぽん、と性器が抜けたと思うや、再びぬぶーっ……と、ゆっくりとした挿入に追い詰められる。
「ン"ッ……ひぃっ……!」
 舐るように奥まで貫かれたクロは絶頂し、ビク、ビクンッと痙攣した。
「何度でもイきなさい」
 男はそのままゆっくりとピストンを開始した。さんざん焦らした内壁を、入口から奥までねっとりと擦り上げる。
「……にゃっ、あん! あっ、あっ、あっ、あひんっ!!」
 開かれたクロの唇から、唾液と甘い悲鳴が溢れた。
「ひにゃ、あぅっ……やあぁ……っあ、あ! あはぁっ……!」
「うっ、好いぞ……!」
「あうっ、あっ! そこ、だめ、だめです、……あっ、……あっ! ひあ、ああっ……!!」
 好いところを連続で強く突かれて、絶叫も涙も止まらない。
 男のでっぷりと張り出した亀頭はすでにクロの結腸に届いていた。
「いやっ、おくいやああっ! あっ、は、はぁ、あ"っ〜〜!!」
 奥まで嵌められた状態で腰を掴まれると、そのまま後ろに抱き上げられ今度は背面座位で。
「んひっ! ひ、ふか、ぁっ……あ、あ、あ!」
 足を押し広げられ、目の前の大きな鏡にはしたない姿が映し出された。
 後孔は縁が捲れあがり、白濁を溢れさせながらぐっぽりと男の剛直を飲み込んでヒクヒクと蠢いている。
「やめっ、や、やあっ……!」
「しっかり見るんだ。ほら、君のいやらしい穴がどうなっているか言ってごらん」
 顔を隠そうとするクロの手を強引に引き剥がすと、男はクロの顎を掴んで無理矢理鏡の方に向けた。
「ふっ……ご、しゅじ、様の……硬くて、長くて、大きなペニスが……っ」
 教え込まれた言葉を、泣きながら復唱する。
「僕の、お、……お、奥までっ……届いて……あ"んっ、あ"ぅっ!」
「届いて?」
「が、ぅ〜〜……ッ」
 ゴツン、と突かれて、クロは息も絶え絶えに喘ぐ。カリの部分がグリグリと弱いところを擦って、クロはぎゅうっと戦慄く唇を噛み締めた。
「ふっ、ふうっ……! な、かっ……めいっぱいこすられてっ……やらし、ぃお汁が、あふりぇ……っ」
「わたしが教えたことをそのまま復唱しても面白くないぞ。自分の言葉で言うんだ。ほら、こうしたら……どうなる?」
「ああ"っ! ん"〜〜ッ!!」
 ぐち、ぐち、と中を掻き混ぜられて、クロは堪らず仰け反る。
「はっ、……あ、おくっ……! ああっ、あっ……! 抉れ……えぐ、りぇて……っんひっ──!」
「ふふ、これはどうだ、これは、これは!」
 男はクロの太腿を下から掬うように掴み広げると、律動に合わせてグン、と引いた。
「ひぃっ──! ひんっ! んっ! やあっ! あっ! な、かっ……ああっ、おく、入っちゃ……! そんな、とこらめぇっ! おかし、……おかしくなっちゃ、あ、あ、あ"っ!」
「前の主人と比べてどうだ? まだ覚えてるか、彼とのセックスを?」
 自分は、ばかだ。クロは思う。
 もう、主人の声も匂いも、体温も──こうして他の男に征服され上書きされてしまった。思い出そうとしても今受けている快感しかわからない。
 自分は根っからの、人間の性欲を満たすためだけに生まれた半獣なのだ。惨めで、涙が込み上げる。
「……僕は……僕の、なか……っも、わかんな……ぃ、」
 前の主人だって、決して優しい人ではなかった。泣いて許しを乞うてもやめてくれず、絶頂に次ぐ絶頂で殺されるかと思った。でも──この男の一物はクロの身体には大き過ぎる。おまけにこうして精神的な苦痛を与えてくるのがクロには堪えた。
 自分が性奴隷で一生を終えるだろうことはわかっている。それでも、自分の姿を見せられ、口で言わされると堪らなかった。男の性器を後孔に受け入れ喘ぐ痴態はあまりに惨めで、快感を感じながらも悲しみに涙が溢れた。
 どうして自分は生まれてきてしまったんだろう。そしてどうして、死ぬこともできないんだろう。
「クロ、中に出すぞ。受け止めてくれ」
「ああっ、あっ、も、いやっ、奥はいや、いやぁっ、だめっ──!!」
 クロの拒絶など構わず、男はクロを自分の膝の上で三角座りさせると、両足を抱え込み身動き取れないように押さえつけ、深いところで思いきり射精した。
「ううっ、クロ……っ! 君の中に、わたしの精子が……!」
 ドクドク、と不気味に脈打つそれから大量に吐き出されたものは半分はクロの体内に留まり、そして半分は収まり切らずに後孔から溢れ出る。
「ああ、あっ……!」
 ガクガクと衝撃に打ち震えながら、クロはボロボロと涙を零した。
 男の性器が、ここに。圧倒的な質量を中に感じる。そして男の吐き出した欲望がたっぷりとそこに蓄えられていくのも。
「ふふ、ふぅ……今日も素敵だったよ、クロ」
 射精を終えても男はクロの身体から性器を抜こうとしない。それどころか嵌めたままゆるく腰を振って中を掻き混ぜるので、溢れた精液はねちゃねちゃと糸を引き泡立つ。
 その体勢のままクロの耳の裏や首筋を舐め、乳首を弄ぶ。
「んっ……! は、あっ……」
 敏感になっているところに刺激を受けると、男を食んだところがきゅんと熱くなった。
「もっと、もっと……まるでそう言ってるみたいだね、クロ?」
「ひ、がっ……も、ゆるし……」
「そんな君に相応しい、新しい友達を紹介しよう」
 男はニタリと酷薄な笑みを浮かべたが、朦朧と息を荒げるクロはそれに気づかない。

2019/07/16


←Prev Main Next→
─ Advertisement ─
ALICE+