Long StoryShort StoryAnecdote

傾いた家


俎上の子


A……12

 ナスとピーマンの素揚げに、アジフライ。育ち盛りの弟のために、肉団子とマッシュポテトも用意しよう。
 篤はタンクトップとショートパンツという夏の部屋着にエプロンという出で立ちで、手際よく料理の準備を整える。
 中学生になって初めての定期テストで、今週は小学生の弟・弘よりも帰宅が早い。いつもよりゆっくりと夕飯の支度ができる。
 慣れた手つきでアジを三枚におろし終えたその時、ガチャリ、とノブの回る音がして、篤はビクッと肩を震わせ手の動きを止めた。
「……お父さん?」
 ドクン、と心臓の音が大きくなる。嫌な緊張で身体が強張る。居間に現れた父親の姿を見て、篤の身体はある予感にぞくりと震えた。
「あ……お父さん、会社は……」
「今日は代休だよ。この間出張に行っていただろう?」
「そう……だったんだね」
 篤は引き攣った笑顔で応じる。どうして笑ってしまうんだろう。篤は自問自答する。
 まだ小学生だった実の息子に性的な関係を強い、今日に至るまでその身体を淫らに搾取してきた父親だというのに。
 それでも篤にとっては大切な、血の繋がった父親に変わりはない。その意識を変えるのは、まだ保護者の庇護なしには生活もままならない年齢の篤には難しかった。
「こんな時間まで寝てるなんて思わなかった。朝も昼も食べてないんだ、お腹空いたでしょ?」
 篤がせかせかと冷蔵庫を開ける。その手を、父親が──男が、掴んだ。
「いい。今は……篤、お前が欲しい」
「おと──んっ」
 振り向かされ、唇を塞がれる。
 篤はもう抵抗もできない。恋人のように唇を絡められ、抱き竦められる。鼻から甘い吐息を漏らすと、父の手はいやらしく篤の小さな尻をまさぐった。
「ふっ……ン」
 冷蔵庫に押しつけられたまま、ちゅ、ちゅぱ、と唇を弾くように吸われる。股間に膝を当てられグリグリと刺激されると、篤は父の胸を手で押して咎めた。
「こんなところで、だめ……」
「エプロン姿のお前と、キッチンでしてみたかった」
「な、にを言っ──あ、」
 男はエプロンの前垂れの隙間から乱暴に手を突っ込み、薄手の布の上から愛息の幼い性器を揉む。
「やめっ……お父さんっ、やだ! こんな……ひろが帰って来るよ!」
 篤は必死に父の手に取り縋ったが、そんなことでやめたりするような男ではない。
「本当にやめて欲しいのか? なら、ここはどうしてこんな風に濡れている? 悦んでるじゃないか」
「いやっ……あ、あ!」
 じわりと色の変わった布の先を、下着の上から指先で執拗に虐められると、篤は膝を合わせてガクガクと震えた。尿道口がこすれ、敏感なところで感じてしまう。
「や、だめぇっ……!」
 堪らず、篤は高い悲鳴をあげる。もはや、篤の性器も隆起して布にテントを張っていた。
 男は、篤の下着の布の合わせ目に自分の性器を潜らせると、中でにゅるにゅると2つの屹立をこすり合わせた。
「あっ……! いや、や、だ……!」
「何が嫌だ、こんなにヌルヌルにして……お父さんのおちんちんにも絡みついてるぞ」
 父親は息子の細い肩をがっちりと押さえつけ、腰を揺する。大きさのだいぶ違う性器と性器が、窮屈な下着の中でヌチヌチといやらしく絡み合い、いずれもどんどん硬く、大きくなっていく。
「ああ、も、やめっ……は、恥ずかしい、恥ずかしいよ……っ、」
 くち、くち、くちゅ。濡れた音が自分の下半身から聞こえて、篤は両手で顔を押さえながら上擦った声で哀願した。
「ふふ、耳まで真っ赤じゃないか。なぁ、気持ち好いんだろう?」
 父の湿った声が耳の中に注ぎ込まれて、ぞくぞくと鳥肌が立つ。篤の抵抗の力が弱まると、男は肩から手を離しエプロンの隙間からシャツを捲り上げ、篤の乳首をまさぐりはじめた。
「あっ!」
「篤……愛してるよ」
「ふっ、ん……ふ」
 唇を塞がれ、乳首を玩具にされながら性器を刺激されては堪らなかった。
 指の動きがさらに積極的に篤の性感を煽り、漏れ出したカウパーがヌルヌルと性器にまとわりつく。
「ふふ、すごいね篤。すごく濡れてる……早く挿れて欲しいんだね」
 その感触がまた淫猥な感覚を生んで、篤は拒絶の言葉を吐きながらも父の手淫で昂ぶってしまう。
「だ、だめっ……! お父さん、そんな……こすっちゃ……! は、はぁ、……んあ、あっ、あぁっ……!」
 父親の手の中で果てるのは、もう何度目だろう? そんな疑問に答えるすべもなく、篤は呆気なくその大きな手の中に精を吐き出していた。
「は、はぁ、あっ……」
 篤は涙目になりながら荒く息を吐いた。
 ショートパンツから伸びる細長い足は、まだ体毛もなくつるつるとしている。それでも骨ばった膝を見れば性別は明らかだったが、エプロンを身につけている姿はどこか中性的で、虚ろに見上げる潤んだ瞳はその気のない男をも惑わせるような妖しげな色香があった。
 早く、愛息の身体に欲望の楔を捻じこみたい。そんな衝動を露わに、男はゴクンと生唾を飲む。
「本当に……可愛い奥さんだ」
 男は息子の真っ赤に染まった耳元にそう囁くと舌を入れ、ビクンと竦む反応を楽しむ。その間にもパンツの裾から手を突っ込み、双丘を揉みしだいた。
「あっ……!」
 篤の小さな白い尻は男の手に吸いつくようにピタリと収まる。滑らかな肌をぐっ、と圧すると、男の手の形がくっきりとハリのある肉に埋もれる。
「んっ、ん……や、ぁは、ン」
 耳たぶを甘噛みされぐにぐにと尻肉を揉まれるうち、篤も興奮して呼吸が乱れた。キスをし、唾液量の増した口内を舌で嬲られる。
 男は調味料棚から出ていたオリーブオイルの瓶を掴むとローションの代わりに手に掬い取り、篤のシャツの中に潜らせた。
「やあっ……んは、あっ、」
 いつもとはまた違う、ヌルついた感触が気持ち好くて、篤は身を捩る。男が胸元に手を伸ばせば、乳首はピンと勃って正直に快感を訴えた。
 篤はいやいやと首を打ち振るう。
「だめ、だめっ……! お父さん、そんな……」
 目を伏せ、父親の手を咎めるように包むが、激しく抵抗するようなことはできない。篤の身体はもう、快感に抗えないほど淫らに作り変えられてしまっていたのだ。
 どんなに己を恥じ、父に恐れを抱いても、身体は背徳の愛撫に悦んでしまう。その情けなさに、篤の瞳から涙がこぼれた。
 乳首を虐められ再び唇を塞がれると、篤の鼻からは切なげな甘い吐息が漏れた。
「ン、ふぅっ……ん」
「さぁ、篤……愛し合おう」
 男は篤の下着とパンツを乱暴に引っ張ってずらすと、篤を流し台の前に後ろ向きにして押しつけた。篤の肛門に昂った性器を押し当てる。
「あっ……!? だめ、お父さんやめ、ここじゃやだ、や……っ!」
 着衣のまま、ぐぐ、と身体を密着させる。
「いや、あ、あっ……!」
 前戯も施されていないそこは普段の行為などなかったかのように慎ましく閉じていたが、男の性器が触れた瞬間開かれ、太く長い男根を容易く飲み込んでいく。
「っ……!」
 ぬりゅ、と内側を乱暴に擦られる感覚に、篤は息を詰まらせた。
「はっ、……ぁ、あんっ!」
 声が跳ね、内腿がビクビクと震える。
 父は篤の腰をしっかりと掴むとぐっと腰を押しつけ身体を密着させた。長大な性器をすべて、息子の中に収めたのだ。
「はぁ、はっ……! 篤っ、あつしぃっ!」
 ぱちゅ、ぱちゅ、と肌を打つ音。男は自分の好きなペースで少年の中を突き上げはじめた。
「あ、あ、や、お父さ、こんな……だめ、」
 立ったままバックで犯され、腹が流し台の縁に当たる。
 毎週末、父親に犯され続けた少年の身体は、従順に禍々しい異物を受け入れると、そこは本人の意思に反してビクビクと疼いてしまう。篤の体内はもう、そのように躾けられているのだ。
「ひっ……ひ、ぅ!」
 安全地帯だったはずのキッチン。しかし父親は、息子の逃げ場をひとつ、またひとつと奪っていく。
「篤っ……! ああ、可愛い篤……!」
 ヘコヘコと犬のようなピストンを繰り返していたが、1度ギリギリまで引き抜くと、ぬぶーっ、とゆっくり挿入した。血管の浮き出たペニスが子供の狭い直腸の内壁をゴリゴリと擦りあげる。奥に辿り着くと、篤の膝はガクガクと震えた。
「はっ……ひン……ッ!」
「篤の奥……いやらしく吸いついてきてとても気持ち好いよ……」
 男の言葉が響いたかのように中が熱く潤い、締まる。剥き出しになった篤の肩までもが、羞恥と快楽のために真っ赤に染まっていた。
「お、うっ……!」
「いや……おと、さん……、も、やめて……っ」
 篤はぽろぽろと涙を流しながら父を振り仰いだ。拒絶の言葉を漏らしながら震える唇は、けれど言外に続きをねだっているようにも見えた。
「まだまだたっぷり可愛がってやるぞ」
 男はエプロンの紐でキュッと絞られた篤の細い腰を掴むと、自分の腰を引いて抜けきるギリギリまでペニスを抜き出す。
「だ、だめっ──!!」
 尿意のようなせり上がりを感じて、篤は下腹を緊張させる。
 その瞬間、男は物欲しそうにしている息子の内壁をいたぶるようにして、奥まで一気に貫いた。
 ばちゅんっ!!
「ひっ、あ"ぁあぁぁあッ──!!」
 深い衝撃。前立腺を強く責められ、篤は全身を震わせる。
「ここ、ここだろう篤! お前の好きなところは!」
「ぅあ"、あぐっ、あっ……!!」
 そのひと突きで極めてしまった篤の中は、断続的にビクビクと痙攣して男を愉しませる。
「ら、めおと、さ……イ、でるの……っイ、イッて、」
「お、うっ……! ふふ、そんなに好かったか、篤? ああ、すごいっ……いやらしく痙攣してるよ……気持ち好いんだね」
「ひ、ひぐっ……! うぅ、お、ねが……! も、やめ……ひンッ!!」
 ズブンッ、と再び突き上げられて、まだ快感の止まない雄膣がビクビクと蠢動し歓喜する。
「や、あ"あぁぁっ……!」
 父親の性器ですっかり快楽の壺にされた篤の中は、トロトロとした先走りの汁と篤自身が分泌した腸液とで熱く潤い、捉えた肉棒を逃すまいと必要以上にきつく締めつけてしまっていた。
「はは、すごいじゃないか篤っ……!」
 イッてる──ずっと、イッて──快感が強過ぎて頭がおかしくなりそうなのに、男は篤の身体の都合などお構いなしに、自分の快楽のためだけに腰を振りたくる。
「ぉねが、も、むりっ……! だめ、そんなっ、ずぼずぼしないれぇっ……!」
 真っ赤な顔を涙と唾液に濡らしながら、篤は必死に泣き縋る。
 理性が飛ぶ。おかしくなってしまう。快感を受けながらも自分を失いそうな恐怖はなくならなかった。
「っ……好いよ、篤。これじゃお父さんのおちんちん抜けないな」
「ああっ!? やっ、い"や"あぁぁぁっ!」
 ぐぐ、と腰を掴んだと思うとキツい締めつけから性器を引き抜き、そしてまた挿入する。アナルの入口から奥まで、パン、パン、と肌を打つ激しいピストンに、達したままの篤はガクガクと痙攣し声も出せない。
「ッ〜〜!! ……っ! ひ、っ!! 〜〜っ!! は、っ、〜〜っ!!」
 とても、逃げることなどできない。入口も奥も執拗に激しく擦られて、勃起したままの幼い性器の先からはダラダラと白濁が溢れていく。射精のような勢いはなく、しつけの悪い犬が粗相するみたいに。
 男はその細い幹に手を伸ばすときゅっと握り、扱きながら先端を親指の腹でぐちぐちと虐めはじめた。
「っ……!? ら、あっ……!」
「篤は全部好きだね。この入口の辺りも、先っぽを意地悪されるのも」
 男の性器のカリ首が篤の肛門、もはや性器に作り変えられた穴の襞に引っかかり、じんじんとした快感が生まれる。くちゅ、くちゅ、といやらしくもふざけたような音に、篤はかっと頬を火照らせ身を硬くした。
 堪らず拒絶の声をあげるが、そうすると男は勢いよく性器を挿入して奥に嵌めた状態でぎゅうっと篤を羽交い締めにしてしまう。
「あ"ンっ──!! は、はあっん、だめ、そこだめぇっ……きも、ちっ……あん、あぅんっ……!」
 逃げ場がない。敏感になった身体の中に父親の熱をまざまざと感じる。
「篤、あつ、しぃっ……!」
「あ"ぁっー! んあ"っ、あ"っあ"んっ! は、あ"ぁんっ! だめ、だめ、もう動かないで、奥だめぇっ……!!」
 あどけなかった表情も情欲と快感と、手放せずにいる羞恥や罪悪感のために赤く染まり、潤んだ瞳や時折覗く赤い舌などはひどく扇情的で、とてもではないが12歳の少年が見せる姿ではなかった。
「何がダメだ? いやらしい顔をして……!」
「ひあっ……! あ、んっ! ……っそこらめ、ら、やら、あ……っ!」
 少年の狭い直腸は父親の責めを受け入れいやらしくうねり、まるで女の膣のように父親の性器を締めつけていた。
「は、あ"っ──……!」
 ぐっぽりと飲み込んだ性器は篤の中で硬度を増し、圧迫する。苦しい──でもそれが気持ち好いなんて。恥ずかしさと罪悪感で押し潰されそうになりながらも、篤はそれ以上に肉欲の快感を得て激しく感じてしまう。
「だめっ……だめっ……なのに……っ」
 ポタポタと涙を落としながら、うわ言のように挟めた喉から悲鳴を振り絞る。
 父子でこんなこと、絶対に間違っているのに。
 父親はただでさえ敏感な息子の、特に好きなところを知り尽くしていた。重点的に弱点を甘く、きつく責めまくり、抉るように激しく突き上げる。
 ぐち、ぐち、ぐぢゅ、ぬぶ、ぬぶっ。
「ひゃあんっ!! あんっ、あっ!! あはぁんっ!!」
 トロトロに熱く熟れた弱点は、剛直で突きあげる度に潤い、きゅうと締まり、同時に甘い悲鳴を篤に強いた。
 ごぢゅん、ごぢゅん、ずぢゅ、ずぢゅ、にぢゅっ!
「いやあっ……ん!! あん、あっ!! あはぁっ、ひぁんっ!! だめっ、そんな突いちゃらめっ、らめぇえっ!!」
 太い肉棒が乱暴に粘膜を擦り、ぶつかる肌と肌の間は卑猥な糸を引く。濡れた音がそこから溢れ、昂ぶった篤の耳までも犯す。
「出る、出る、出すぞっ!」
 篤の深いところに嵌められた男根がドクン、と脈打った。
 ビュルビュル、ビュビュ──ッ!!
 熱い飛沫が篤の内側で迸った。それはヒクヒクと痙攣する奥の狭いところまで、篤の中を徹底的に汚していく。
「はっ……!! ひ、ぃ……!! ひ、ひぐっ……!!」
 身体の奥に熱い欲望を叩きつけられて、それに感じてしまう羞恥に心までも辱められて。
「ひっ、ひうっ、んんっ……!!」
「お、うっ……!!」
 びゅくびゅく、と父親が息子の中で果てる。当然のように、コンドームは使われなかった。さんざん剛直で荒らされ敏感になってしまったそこは、仕上げとばかりに大量の精液を浴びせられると断続的に痙攣して男を悦ばせた。
「う、おうっ……!!」
「ひ、うっ……ひぐ、うっ、ううっ……ぁ、」
「篤……篤もイッてるんだね……!」
 父親は射精を終えても性器を抜かずに腰を揺すって中に出したものをぐちゃぐちゃと掻き混ぜる。
「ああ、篤ぃっ……すごい、お前の中、まだうねって……!」
「や、いやああぁ……」
 体内を汚され、内股を溢れた汚液がドロリと伝う。何度されても慣れることはない。
「篤の中……いつもお父さんの精子でいっぱいにしていたいよ……」
 父親の湿った大きな手が篤の腹を撫でる。腹の中に収まった性器の形をリアルに感じて、篤もエプロンの前垂れに吐精した。
「あ、あ……っ!」
「はっ、はぁ、はっ……篤っ……あつしぃ、」
 男は息子と繋がったまま、その華奢な身体を掻き抱くように胸中に抱いた。ガクンと膝から落ちた少年に追随してキッチンマットの上に座り込む。
「は、……は、あっ……!! ん、んんっ……!」
 篤はまだ止まない絶頂にガクガクと身体を痙攣させている。体内に息づく父親の性器を、きつく締めつけ続けた。
「欲しがりだな、篤は……」
「んあっ……! は、あんっ……」
 父親はニタリと笑うとまだ絶頂の余韻から醒めない篤を宥めるように腰を引き性器を抜いた。篤の肛門からは大量に出された精液がトロトロと溢れる。
 まだ物欲しそうに息づいているそこに、父親は手近にあったバスケットの中から緑色の瓜を掴むと突き挿れた。
「っ──!?」
「はは、すごいな篤っ! お前の中にキュウリが飲み込まれていくぞ…!」
 それほど太くはないが、冷たくて硬い、表面のブツブツとしたそれがゆっくりと出し挿れされて、篤は目も口も大きく開きながらビク、ビク、と痙攣する。
「はっ……! あ……!?」
「いけない子だ」
 ぐち、ぐち、ぐち、とゆっくりとしていた動きは少しずつ早くなり、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を溢れさせる。
「ひあああっ!! あっ! あっ! あっ!!」
「1人でよがって、はしたない」
「いやっ……! いやだお父さん、お父さん……っ!」
 四つん這いになって腰を高くした篤はボロボロと泣きながら必死にかぶりを振ったが、父は容赦などしない。
 異物によって中に出された精液が掻き出されていく。
「ううっ! うっ、いや、やだ、やだっ!!」
 篤は必死になってマットに爪を立てた。
 冷たく、硬い。父の性器に比べて細身なそれは、違和感で篤の身体を竦ませるばかりで、快感を与えてなどくれない。
「おと、さ……っ、やめ、て、やだ、やだぁっ」
「篤はここをズボズボされるのが大好きだろう? ここを突いてくれるなら何だって腰が動いてしまうんだからな」
「やだ、そんなっ……! ちがう、ちがうの……っお父さん、がいい……、」
 男の手が止まった。
「ん? なんだ、篤」
「お父さんのがいい……お父さんの、おちんちん……くださ、い」
 最初から、父親がその言葉を求めていることはわかっていた。
 篤は猫のように四つん這いのままぐるりと体勢を変えると、父の股間の前に蹲った。ぼろんと垂れた性器に顔を寄せ、ちゅ、と口づける。先端を舌で舐め、唇で掬うと喉の奥までそれを受け入れる。
「んぐっ……」
「ああ、篤……っ自分から、そんな……」
 男はハァハァと荒い息をあげると、息子の形のいい頭を撫でる。
 そうしながら、篤の尻に突き立てられたままのキュウリを前後に動かした。
「んむぅっ!」
「ふふ、そうだ、いいぞ……」
「ふぐっ……! ん!」
「ほら、休むんじゃない」
 そう言って篤の尻をピシャリと叩く。
「ふっ、ふーっ、ん、んぶっ」
 篤は一生懸命に父の性器を愛撫した。顔を前後に動かし、喉と舌を巧みに使って。男のものはじょじょに力を取り戻して、篤の口内を圧迫するほどに硬く、大きくなった。
「よし、よし。偉いぞ篤……ほら、自分から来てごらん」
 男は篤の尻からキュウリを抜き取った。
 篤はそそり立つ父の勃起を前ににじり寄ると、腰を上げてその上に跨った。
「お父さん……」
 本当にこんなことをしたいわけじゃないのに。篤の瞳から涙が溢れる。
 それでも今、この身体の疼きを鎮める方法はこれしかないことも、篤は知ってしまっていた。
「んッ──!!」
 ぬぷん、と性器を飲み込んだ途端、足の力が抜けて体重を支えられずに篤の腰が落ちた。
 ズンッ!! という激しい衝撃と共に、腹の奥を父の性器が貫く。
「はっ……! あ"ああッ──!!」
「う、おっ……! ああ、篤、偉いぞ篤……! お前の中、こんなにもお父さんを欲しがって……ビクビク震えて、ああっ……!」
「は、……はぁ、……おと、さん……っおとうさん、おとうさん……ッ!!」
 父親に頭を撫でられて、篤は朦朧としながらも不思議と恍惚感を得ていた。
 褒めてもらえた。それだけで、この非道な行為を受け入れてしまう異常さに、篤は日に日に鈍感になっていく。
「愛してるよ、篤。──篤は?」
 篤は父親を見上げた。慈愛に満ちた無邪気な黒い瞳に、吸い込まれそうになる。
「す、き……おれも、おとうさんのこと、すき、です……っ」
 ぽろ、ぽろ、と涙がこぼれる。
 父の腹に手をつくと、ゆっくりと腰を動かす。ぬぷ、ぬぷ、と自ら父の性器を出し挿れし、そこから快感を搾り取る。
「う、う、う、ふぐっ、うっ」
 エプロンの肩紐はずり落ち、腰の紐も緩んで、着乱れたエプロンは行為の激しさを物語るかのようだ。
「あ、あ、あ、あんっ、あ、あ、はぁっ」
 身体も、心さえも自分のものではなくなっていくのを感じながら、篤は同じ言葉を繰り返した。
「すき……、おとうさ、のことが、すき……」
 仰向けに寝た男の上に跨る少年の姿は流し台の高さよりも下に屈んでいて、例え居間に人がいたとしてもその情事が目撃されることはないだろう。
 ただ遠慮のない甘えた嬌声だけが、そこで行われている行為を示していた。

2019/09/01


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