Long Story|Short Story|Anecdote渇き
第2話−2
「あ……、待って無理、恥ずかしい……っ!」
覆い被さる沖と、その先に天井の明るい蛍光灯を見た御園は、両手で顔を覆った。誰もいないとはいえ、ここが学校の施設の一部であることを思い出したのだろう。
「今さら泣き言言うなよ。俺のチンコ、もうガチガチなんだ」
「だ、だって、顔見ながらなんて……それに俺だけ水着なんてズルい、」
「だってお前、俺が先に着替えて待ってなかったら逃げただろう」
「そうだけど」
「そうなのかよ」
思わず笑ってしまう。
「……でも、捕まえた」
戸惑った目をする御園が可愛らしくて、守ってやりたくなる。これから彼にしようとしていることと、矛盾しているかもしれないが。
思いながら、沖はちゅ、と御園の瞼に軽くキスをする。
「前から、やめるか? 後ろからにするか?」
初めてが四つん這いだったからあれは微妙だが、シャワー室で立ちバックもいい。妄想の中では何度かそんなこともしたし、水中でも後ろから御園を抱いたことがある。
でも、そうだ。沖の妄想には限界があった。正面から御園を抱く妄想は難しい。御園がどんな顔をして、どんな声を出すのか──それが知りたくて仕方がない。
高まっていく欲情に鼻息を荒くする沖の一方で、御園はやや静かな面差しでじっと沖を見つめた。それから真剣な顔で言う。
「ううん、やっぱり、沖の顔が見える方がいい。沖がどういう顔してるのか見たい」
「……こっちこそ恥ずかしいんだけど」
またカウンター・パンチを食らった沖の下半身は、もはやノック・アウト寸前だ。
「じゃあ、いいな」
ズボンと下着をずり下ろしながら、御園の腰を上げさせ水泳着を引き下ろす。
御園のペニスをこうもはっきりと見るのは初めてだったが、沖のものに比べて細身だが長くすんなりとしていて、御園の体型と少し似ているようだった。
「あんまり見るなよ、」
前を隠そうとする御園の手を掴んで咎める。
「お前だってさっき俺の見て感想まで言っただろう」
「そう……だけど、」
改めて言われて初めて自分の言葉の威力を感じたのか、御園の頬が赤らむ。
目の前に閉じた膝を立てられて、沖はその膝を掴むとぱっくりと押し開いた。
「わぁっ! ちょ、ちょっと待ってまだ、」
「だからもう今さらだろって!」
「あっ……!」
御園のペニスを握るとさっきより少し強めに扱く。御園は顔を見られながらするのが恥ずかしいのか、腕で顔を隠しながら唇をぎゅっと噛んだ。
沖は御園のものから溢れて来たカウパーを掬うと指先に絡め、つぷ、とアナルに中指を当てる。
「っ……!」
「力抜いて」
「で、できない、」
「大丈夫だから。優しく、ゆっくりする」
言い聞かせるように真正面から顔を覗きこんで言うと、御園は少し寄り目になってコクコクと頷いた。
「は、……っぁ、」
ゆっくり、ゆっくりと指を進めていく。
最初の時、どうやってしたのだろう。多分、学生達が御園のここを指で解したんだと思うが、面白半分で自分に手番を譲られたのは不幸中の幸いだった。あの時点でそう思っていたわけではないけれど、今ならそう思う。
「んっ……んは、はぁ、……あ、」
「痛くない? ……中指、全部入ったよ」
御園は眉を寄せ目を閉じながらも必死に頷いて見せる。薄っすらと目を開けると瞳が潤んでいた。
「沖……本当に、嫌じゃない?」
「え?」
「俺と、またこういうことするの……」
涙を堪えようと、御園は唇を震わせる。
「バカだな、したくなかったら自分から言ってない」
御園の潤んだ目が、さらに濡れて歪む。とうとうほろりと一筋の雫が流れ落ちたので、沖は少し驚いた。
「御園こそ、本当は嫌なのか……? 俺、ちょっと強引過ぎた?」
御園はフルフルと首を振った。
「大丈夫。違うんだ、そうじゃない。そうじゃなくて……俺、上手くできるかわからない。でも、お願いだから、もしダメでも……俺のこと、嫌いにならないで」
ぎゅっと、縋るように沖の手を握る御園の指先が震えている。そんな──そんな恐れを抱いていたなんて。いじらしさに、沖は自分の目頭も熱くなるのを感じた。
「大丈夫だよ。そんなことで嫌いになったりしない。俺達、先にやっちゃったからさ、何だかおかしいけど、俺今は本当にお前のことが好きなんだ。だから、大丈夫なんだ」
焦って妙な言い回しになったが、沖の言葉を聞いた御園は懸命に微笑んでくれた。
「……沖、キスして欲しい」
「うん」
2人はまた丁寧にくちづけを交わす。慈しみ、労わるように。
御園の、真っすぐな瞳が好きだ。少し人と違う感性は彼を多少孤独にしていたけれど、人に媚びることのない御園の態度は沖にとっては好ましかった。新しく知った恥ずかしがりなところも、彼の誠実さや意外な慎重さに由来する、相手への思いやりを感じる。
沖は、御園が好きだ。
「……挿れて、いいか?」
情欲に上擦る声が恥ずかしい。でも、もう限界だった。沖のペニスは怒張してじんじんと熱を持っている。早く御園の身体を感じたくて焦れる。
「いいよ、」
言われて、ギシギシとベンチに乗り上げた。指で馴らしたところにくちゅ、と亀頭を当てると、御園がぎゅっと唇を噛んだ。2人は一緒に息を詰めた。
「……ッ!」
ぐぷ、と先端が飲まれただけで襲ってきた快感に、沖は目尻をピクピクと痙攣させる。
「う、あっ……っく、御園……!」
「は、あうっ……!」
親指分くらいの長さが埋没すると一呼吸置く。御園はすでにはぁはぁと息を荒げていて可哀想なくらいだが、ここで終われない。
「御園、平気か?」
「だいじょぶ、……っんあ!」
返事を聞くが早いか沖は侵攻を進め、ぬぷぬぷと御園の中にペニスを嵌めていく。すでに1度男を受け入れたところだが、とはいえ本来そういうことをする器官ではない内壁は狭く、きつく肉棒を締めつける。
「ふあっ……! あ、沖……っ、手、手つないで……っ」
「わ、わかった、」
正直それどころではなかったが、沖は慌てて御園の手を探すとぎゅっと組み合わせた。御園の爪が手の甲に食い込んで痛むが、きっと御園の身体が耐えている衝撃はこの比ではないだろう。沖の体重を受け、そしてその肉体の中でもっとも熱を持った部位は、御園の身体の大切なところに穿たれているのだ。
「くっ……ぁ、はぁ、……はっ、……ぜ、全部、入ったよ御園、」
腰を動かすのに夢中になっていた沖だが、顔を上げると組み敷いた御園の姿を見た。
御園は喉を詰まらせながら涙を流していた。顔は真っ赤で、窒息しているのではないかと焦る。
「御園、大丈夫か? 痛いか、」
「だいじょぶ、……だいじょ、……ひっ……ぅく、」
「なんで泣いてるんだ」
御園は眉を寄せるとゆっくりと頭を振る。
「わか、な……わかんな、ぃ……っ」
「そうか……そうか、」
沖は泣きじゃくる御園を宥めるように、濡れた髪を撫でてやった。
「沖……沖は、きもち、ぃ……?」
「……うん、気持ち好い」
事実、すっかり自分を受け入れてくれた御園の中は熱くて狭くて、ほんの少しでも動くとビクンと反応するのが堪らなかった。
正直に答えると御園はふにゃ、と笑ってさらに涙を零す。
「よかった、」
沖はゾクン、と下腹が重くなるのを感じた。
2019/09/22
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