Long Story|Short Story|Anecdote渇き
第2話−3
「俺、本当に沖のことが好きになったんだ」
御園は涙を拭いながら言う。
「あの時、沖は俺に優しかった。できる限り守ろうとしてくれてたの、わかったよ。本当に、心から信頼できるヤツだって思ったんだ」
急にそんなことを言われて、沖は一瞬ポカンとした。改めての告白に、かっと耳が熱くなる。嬉しくて、胸がぎゅっと詰まる。
「お、俺だってさ! お前としかこんなことしない。先にあんな……ことがあって、普通とは順番が逆かもしれないけど、俺はお前のことが本当に好きになったんだ。こんなことしながら言うのは変だけど、お前のこと大切にする」
「……沖、」
「本当にさ、お前のことが好きなんだ。……ああくそ、俺、今まで好きになったのって全部女だけど、どう証明すりゃいいんだ?」
沖はわしゃわしゃと自分の頭を掻き毟った。大体、こんな風に面と向かって想いを伝えるなんて初めてだ。これまで好きだった異性にだって、何か行動を起こしたことなどない。ましてこんな状況でなんて。
動かないでいると御園の中に埋めている身体の一部がズキズキと痛むようだ。何せ、こうして話をしている間にも御園のそこは熱くぬかるんでいて、鼓動の高鳴りと連動するように時折甘やかに沖を締めつけてくる。
「俺も沖だけがいい。触れたいと思うのはお前だけだよ。自分がこんなクサいセリフ言うなんて、信じられないけど」
御園は指を解くと沖の首筋に手を伸ばし、ぎゅっと抱き寄せた。沖はされるがまま、御園の首筋に顔を埋める。プールの匂いがする。
「沖、大好きだよ」
改めて言われて、泣きそうになる。こんなことを思ったらおかしいとは思いつつ、あの事件があってよかった、などとも思った。そうでなければ、御園とこんなことにはならなかった。お互いにとっていいことかどうかは、まだわからないけれど。
「んっ……」
深く口づけると、先までの締めつけなどまだ優しいものだったのだと知る。沖のペニスが先を望んで痛みすら感じている時、どうやら御園のそこも同じように堪え、疼いていたらしい。もっとこすって、突いて欲しいと言わんばかりの甘い蠢動に、沖は顔を離すとじっと御園の顔を両手で包みこんだ。
御園は少し変わり者だが、細面の丹精な顔立ちをしている。じっと見返してくる茶色い瞳も真上からの照明を受けるといっそう明るく、瞳孔の大きさまで明らかだった。
「……顔、そんなに見るなよ」
「だって、最初の時見られなかったから」
「だからってそんなまじまじ見られたら、……あンッ」
「わ、」
沖のものを食んだ御園の中がまた、きゅうっと締まる。喘ぎと同時に顔を歪めた御園は、高い声が自分の鳴き声だと自覚するや真っ赤になって顔を背けた。
「ごめ、ごめん……声、気持ち悪かったな……」
「気持ち悪くないって。めちゃくちゃ可愛いよ」
「変だ、そんなの。無理しなくていい、俺声我慢するし」
「変じゃないって。声ももっと聞かせて欲しい。俺は水の中より、御園の中の方が気持ち好いよ」
「なっ……、何バカなこと言って、……ぁ、あッン!」
御園の反応があまりにいじらしくて、沖は少し虐めたくなった。御園の腰を掴むとやや強引に突き上げる。
「ま、待って沖、まだはや、アッ!」
「ごめん、ちょっと好きに動かせて」
本能に任せて腰を振りたくる。御園のあげる高い嬌声がさらにそれを加速させることに、本人は気づいていないだろう。
「まっ、あっ、だめ、だめ、……あ、あ、あッ、ひゃあンッ!」
可愛い声──陶酔しながら、沖は御園の敏感な腸壁をこすりあげる。その度に入口はきゅんきゅんと締まって、御園は律動に合わせて目を細め口を開けた。
「はぁ、あっ……みそ、の……っここ、すごい……っ」
「はうっ、うっ、ン! は、はぁ、や、アッ……!」
「御園、御園っ……!」
両手を組み合わせて床に押さえつけると、腰を大きくグラインドさせる。抉るような動きに御園は感じ入って、ビクビク、と何度か達した。
「ひはっ……あ、ンッ……! は、はぁっ、こ、え……出ちゃう……っ」
「だから出していいって。めちゃくちゃ可愛い、御園の声」
いつもはどこか飄々として響く御園の少しハスキーな声は、今や高く上擦って誰も聞いたことのないものになっている。沖にはそれが嬉しい。自分だけが知る声だ。
「ひんっ、やっ、やだっ……! じぶ、の声、変……で、恥ずかしいっ……、」
御園は顔どころか全身を真っ赤に染めて身悶えている。沖が好いところを突くと背中が浮き、綺麗な肋骨が浮かび上がった。しゃぶってくれと言わんばかり反らせた胸に、沖は誘われるようにして吸いつく。
「ひぁんっ! やっ、何して、」
ちゅぱ、ちゅ、ぢゅ、と乳首を吸い上げると沖のペニスまで気持ち好くなるのは、御園の中が反応して締まるせいだ。
「あ、あうっ、やだ、それやだぁっ!」
「そう? ここイジると御園の中、すげぇ気持ち好さそうにうねるけど」
「んっ! は、はあっ……、はずかし、から、言わないで……っん」
御園の恥じらいに劣情を掻き立てられながら、沖はさらに腰の動きを激しくしていく。
「はぁ、あんっ! あ、あ、はぁンッ! やら、いやっ、沖っ、おきぃっ!!」
本当によかった、御園を犯したのが自分以外の男じゃなくて。沖は改めてそう思う。
あの学生達が御園をより直接的に襲ったなら、連中は御園の恥じらう反応をも餌にしてさらに嗜虐心を燃え上がらせ、御園の気が狂うまでめちゃくちゃに犯し尽くしたことだろう。
同じように御園の悲鳴で興奮している自分も、大して変わらないのかもしれないけれど。
「おきっ、そこやだ、やめて……っ」
言われるところを執拗に突き上げる。嫌がらせをしているわけではない。御園はそこが好きなのだ。証拠に、突き上げる度に沖のペニスをきつく締めつけ、勃起したペニスから先走りを垂らしている。
「はうっ、ひっ、なんれ、おき、おきぃっ、そんな、……や、」
「う、うっ、御園っ……、ああっ! うっ、すご、そんな締めつけたら……っ!」
あまりの快感に、沖も1度動きを止める。
沖のペースに慣らされていた御園の身体は、期待していた突き上げが来ないことにゾゾゾ、と鳥肌を立てた。とはいえ、過呼吸気味の2人には少し休憩が必要だった。沖も動きを止めた途端に腰の怠さに気づく。少し激しくし過ぎた。
頭を垂れ、御園と汗をかいた額を合わせると互いの激しい呼吸を浴び合う。
「っ……、おき、キス……して、」
ねだられ、沖は喜んで御園の望みを叶える。舌先が触れただけで甘い官能が全身に広がり、2人はほとんど同時に眉をギュッと寄せた。
「んふっ……ん、は、んむっ……」
「んんっ、ふあっ、あむ……んっ」
御園の口の中はすでに唾液でトロトロだったが、沖は自分の唾液も流し込むように舌を絡めた。
「はんっ……ん、ふっ……」
チュパ、と唇が離れると、ついこの間まで友人だった恋人の顔を再びまじまじと観察した。
御園の瞳は情欲に蕩け、唇の縁からは沖の飲ませた唾液が滴っている。こんな表情を見る関係になるなんて、思ってもみなかったのに。
2019/09/22
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