しどろもどろ

(「腐れ縁」続き)


しどろもどろ




最近、幼馴染みのミオが俺を避けている。避けてると云うよりは意識してる、の部類に入るか。
あの日、ミオを好きだと言って以来、ミオは俺に毒づくどころか俺の名前すら呼べなくなり、さらには俺を見ては顔を赤くして逃げるようになった。

それはそれで可愛らしいと思うけど、俺はその先を望んでいた。

「ミオ」

「なっ、え?」

放課後の誰もいない教室で、俺はミオを壁際に追い込んで逃げ道を手で塞ぐ。いわゆる壁ドンだ。

さあ、ミオ。逃げ場なんかねえからな。




あの日、幼馴染みの鉄朗に好きだと言われてから、鉄朗と顔を合わせられなくなってしまった。
無駄に緊張するし、心臓がドキドキした。

「ミオ」

「わ、私用事が」

そうやって鉄朗を避けてきたのに、今この状況に私はしどろもどろだった。

放課後の誰もいない教室で、私は鉄朗に壁ドンされている。
嫌でも鉄朗が目に入る。ドキドキと心拍が上がるのがわかる。でも、それ以上に何だかあったかい気持ちになった。

「っ?! ミオ……」

ただ、鉄朗の顔を見上げるだけのつもりだった。彼がどんな顔で私を見てるのか、知りたいだけだった。

だけど実際に彼の顔を見たら、私の体が勝手に動いていた。

彼の唇に私のそれを重ねていた。

「あっ、ご、ごめん……」

だって鉄朗が、とてもいとおしさを含んだ瞳で私を見ていたから。だからきっと私はこんな行動に出てしまったのだ。

「はー。なあ、ミオ。それは"好き"って解釈していいんだよな?」

相変わらず動揺を見せない鉄朗は、勝ち誇ったように笑いながら、私に言うのだった。



――――――――
千明さまリクエストです。
黒尾くんで「腐れ縁」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



160528