仲直りラブレター

(「匿名ラブレター」続き)


仲直りラブレター




夜久と付き合い始めたものの、私はいまだ素直になれずにいた。
そりゃそうだ。性格はそう簡単には変わらないものなのだから。

「夜久なんか知らない! 大っ嫌い!」

「っ! 俺だってミオなんか大っ嫌いだよ!」

些細なことから始まった口論は、引くに引けないところまでヒートアップし、結局私たちは喧嘩になってしまったのだ。

なんで素直になれないのだろうか。
謝ろうにもプライドが邪魔してうまくいかない。

その日、家に帰ってから後悔した。

「はぁ、どうしよ」

考えて考えて、私は手紙を書くことにした。言葉にできないのなら、伝える手段を変えればいい、そう、思ったのだ。




翌日、夜久の下駄箱に手紙を入れる。
直接渡す勇気はなかった。

「夜久に届きますように」

おまじないをかけるように呟いて、私は下駄箱から離れていった。




下駄箱に、手紙が入っていた。ミオからだった。

『ごめんね、夜久。嫌いなんて言葉のあやだよ。私は夜久が大好きだよ』

いつも素直じゃないミオが、手紙では素直だったから、なんだかおかしくなる。

「俺だって好きだ、ばか」

手紙に話しかけても意味はない。
さて、どうやってミオに謝ろうか。
気の利いたことは思い付かなかった。だから、ミオに倣って手紙にしたためようと、ルーズリーフに思いを書き出した。



放課後、ミオを呼び止めれば、ミオは気まずそうに顔をそらす。

「ミオ、これ」

「え、なに?」

渡した紙を、ミオはゆっくり開き、手紙を読み出す。

「悪ぃ、ミオ、俺も感情的になりすぎたっつーか」

やはり言葉にするのは難しい。いや、照れ臭いのだ。

俺はそっとミオの唇にキスをした。

「夜久?」

「ま、俺の気持ちはこういうことだから」

こういうこと、だなんて、伝わっただろうか。
キスしたいくらい、好きだって、伝わっただろうか。

俺の不安をよそに、ミオは柔らかく笑い、私もだよ、小さく言った。



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優月さまリクエストです。
夜久くんで「匿名ラブレター」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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