そんな彼らの幼馴染

(「少しずつ」続き)



そんな彼らの幼馴染み



練習試合はいつだって真剣だ。
あの無気力な研磨でさえも、練習試合となれば全力を出す。

「クロ頑張れー!」

客席から聞こえた声援に、俺は声の主をちらりと見る。
確かあの子は黒尾や研磨の幼馴染みの、名前は確か霜月といったか。
幼馴染みの応援なんてほほえましい。
思いつつ、俺は再び意識を試合に戻していく。



練習試合を終え、ミーティングをする。

「まあ、そんなとこだな」

音駒の主将である黒尾は、バレーに関してはいつでも真剣だ。普段はおちゃらけているが。
簡単なミーティングはすぐに終わり、俺は後片付けを始める。

ふと、体育館の入り口に、さっきの幼馴染みの姿が見えた。

「霜月、だっけ?」

「え、わ、わたし?」

「他に誰がいるの」

「ああ、そうですね……」

霜月に話しかければ、彼女は目を泳がせた。
黒尾か研磨になにか用があるのだろうか。

「黒尾に用だった?」

「や、あの――」

「おー、ミオ! と、夜っ久ん。なにしてんの」

そこに黒尾が歩いてきて、霜月はあきらかにホッとしたように息を漏らした。
黒尾の後ろからは研磨も歩いてきていて、霜月は研磨に小さく手を振った。

「研磨くん、お疲れさま」

「うん」

研磨は小さく返事をし、だが黒尾はあきれたようにため息を吐いた。

「ミオ、お前ここまで来たんだからよお」

「クロ……だって……」

「はー。夜っ久ん、ミオってこう見えてバレーに興味があるんだよ」

黒尾は俺に話題をふり、霜月はそれに対して付け加えるように言う。

「その! 夜久さんのレシーブが本当に好きで」

「マジで? ありがとな!」

リベロは正直、あまり目立たないポジションだ。
レシーブなんて華やかではないと誰もが思うに違いない。
そんな俺のレシーブを好きだと言われたら、嬉しくないわけがない。

「ミオは夜久くんのこと本当によく見てるからね」

「やめてよ研磨くん」

霜月はなぜだか顔を真っ赤にしていたが、俺は嬉しくて霜月の手をぎゅっと握っていた。

「やっぱレシーブってかっこいいだろ?」

「……!?」

こくこくと黙って頷く霜月は、だが顔は本当に嬉しそうに笑っていた。


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柚希さまリクエストです。
夜久くんで「少しずつ」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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