先輩、俺、君

(「先輩じゃなくて俺を見て」続き)



先輩、俺、君



霜月に告白して以来、霜月は俺を避けるようになったし、あんなに大好きだった夜久さんにも会いに来なくなった。夜久さんに会いに来れば、嫌でも俺と顔を会わせるからだ。

「はあ」

「なに黄昏てんだよ、リエーフ」

「いたっ!」

ばしっと尻を蹴られた。夜久さんは小さいけど厳しい人だ。
俺は尻を押さえながら夜久さんを恨めしくみた。

「なんだよ、リエーフ」

「夜久さんのせいでフラれたんじゃないっすか」

「ああ、霜月の話ね」

夜久さんは気にする様子もなくけろっとしていた。本当に男前な先輩だ。

「そんなにうだうだすんなら、今から告白し直してこい!」

「え、ちょ。夜久さん!?」

背中を押され、体育館から追い出された。告白し直し、だなんて、傷口に塩を塗るようなものだと言うのに。



だけど俺は、やっぱり霜月の返事が聞きたくて、朝の教室へと向かっていた。朝練を抜け出しているとはいえ、教室にはちらほらと人が登校してきていた。そのなかに霜月もいた。朝、早いんだな。

「あの、霜月……」

「あ、え。リエーフ?」

教室内で告白するのはいくらなんでも恥ずかしい。俺は黙って霜月の手をつかみ、廊下まで引っ張ってあるいた。霜月は抵抗はせず、黙ってついてきてくれた。

「霜月、その」

「な、なに?」

「うん、俺。霜月が好きだから、その。この前の返事、聞かせて?」

情けない俺らしくない小さな声に、でも霜月は今日は逃げ出さなかった。首をあげて俺を見上げたまま、笑ったのだ。

「私も。リエーフが好きみたい」

みたいってなに、思っても言えなかった。野暮だと思ったのだ。
霜月が俺に向けた視線が、あきらかに恋慕を含んだものだったし、真っ赤な顔はすなわち、その言葉に嘘はない証明なのだ。

「じゃあ、付き合ってくれる?」

「……うん」

今度は顔を下げて伏し目がちに返事をされた。
夜久さんを見ているときとは違うしおらしさに、優越感に襲われた。
霜月は確かに俺を好いていてくれる。それを実感してしまい、思わず廊下で抱き締めていた。



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ゆふさまリクエストです。
リエーフで「先輩じゃなくて俺を見て」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



170515