慣れてしまう

(「調子が狂う」続き)


慣れてしまう



霜月はなぜだか俺に好意を抱いているトルコ人のハーフだ。
以前はところ構わずハグやキスをしてきたが、一時期それを俺の願いでやめてもらった。だけどやめたらやめたでどういうわけか調子が狂ってしまい、再び前の関係に戻った。ちなみに俺たちは付き合っているわけでも好きあっているわけでもない。断じて否定する。

そんな霜月が、今度はマネージャーの仕事に興味を持ち出し、ここ最近はバレー部に出入りしている。

「手伝うデス!」

意外だったのは霜月はなかなか手際がよかったことだ。テキパキと慣れた様子でドリンクを作ったり洗濯をしたりと、雀田さんも白福さんも霜月をたいそう可愛がっていた。それから木葉さんに至っては、

「おー、赤葦。ミオちゃんマネージャーに欲しいよな」

「木葉さんやめてください」

「だってサルも小見も同じこと言ってたぜ」

木葉さんはそう言ってタオルで汗をぬぐった。
もしも、だ。もしも霜月がバレー部に来たらきっと俺は平常心では居られないだろう。

木葉さんにバレないようにため息をついたとき、背後から視線を感じた。何事かと振り返ったら、雀田さんと白福さんが俺をじっと見ていた。見ていたかと思えば、振り返った俺に気づいて顔を逸らされた。いったいなんなのだろうか。俺は訳がわからない。

「っくし!」

「赤葦が風邪なんて珍しいな!」

前を向き直ったら今度はくしゃみが出た。誰かが噂しているのかもしれない。
木兎さんは風邪だと思ったようだけど、このくしゃみは絶対に噂話によるものだと確信した。ただ、何の噂なのかは分からないけど。
それにしても、雀田さんと白福さんはなんで俺を見ていたのだろうか。一人疑問符を漂わせていれば、霜月が嬉々とした様子で俺にドリンクを持ってくる。

「アカアシ! ドリンク作りマシタ! オイシイ?」

「ん。美味しい」

受け取ったそれを飲み、霜月に社交辞令を言えば、霜月はさらに嬉しそうに顔をほころばせて俺の頬にキスをした。

もはや俺には慣れたことで、だけど周りの先輩の視線が痛かった。



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千明さまリクエストです。
赤葦くんで「調子が狂う」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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