怒りが消えるほど

(「慣れてしまう」続き)


怒りが消えるほど


「私がいないとアカアシは困るデスカ?」

「え?」

唐突な言葉だった。
同じクラスの霜月は今日もマネージャー業を手伝いに来ていて、休憩時間に不意にそんなことを言った。
正直に言えばどきっとさせられた。
霜月がいないと困る、とは、つまり俺が霜月を好きだとかそういうことだろうか。
だけどよくよく考えたら、それはどうやらバレー部のマネージャーとして霜月が必要か、という意味だったらしい。

「アカアシが困るの、私イヤデス。センパイたちが言ってました」

「……そう」

合点がいく。あながち、木葉さんが言い出したことだろう。それにしても、純粋な霜月の気持ちを利用するのは許せない。俺を出しに使うことも許せなかったが。

「木葉さん」

「あ、あかあし、落ち着け」

知るや否や木葉さんににじりよるも、霜月が俺に抱きついてきたものだから、俺の毒気は抜かれてしまう。

「霜月。マネージャーは嫌ならやらなくていいんだからね」

「私、マネージャー楽しいデス!」

そうしてとどめに頬にキスをされてしまっては、俺の怒りは完全にどこかへ消えてしまった。
変わりに、囃し立てる先輩たちの視線に居心地の悪さを感じていた。



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千明さまリクエストです。
赤葦くんで「慣れてしまう」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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