誤送信

(「風に乗れ」続き)



誤送信



女の子にとってメールのやり取りはおしゃべりと同じくらい楽しいもので、今日も私は夕食後の寝るまでの時間に仲のいい友人とメールを楽しんでいた。

『ミオは優しい彼氏がいるもんね〜。どのくらい好きなの?』

皮肉ったようなからかいのメールのやり取りも日常で、私はいつものように返信文を打つ。

『いいでしょ?京治くんってああ見えてすごく心配性だけど、私のこと大事にしてくれてるんだ〜。どのくらい好きって……宇宙一?』

のろけのメールを返すときは、気持ちがふわふわしてしまう。相手もそれをわかっていてからかうように私にそんなことを訊いてきているのだ。女の子の恋バナと言うのは女の私からしても不思議なものだと思う。

「送信……って、あっ!?」

ふわふわした気持ちは、油断を招く。何をどう間違ったのか、自分でもわからない。分からないのだけれどひとつ確かなのは、今ののろけのメールの宛先が京治くんになっていたということだった。

「ど、どうしよう!?」

誰もいない部屋で叫んで立ち上がって、携帯の画面をにらんで右往左往する。今の今までやり取りしていた友人に誤送信してしまった旨を伝え、どう言い訳すればいいのかアドバイスを仰ぐ。が、

『俺もミオが宇宙一好きだよ』

友人のアドバイスより早く京治くんから返事が来た。しかも普通に返されると来た。どうしていいのかわからない。言い訳のメールを改めて送るべきか、もしくはこのまま普通にメールを返信するか。
慌てふためく私をよそに、友人からのメールが届く着信音が部屋に響いた。



夕飯を終えて課題をやっていたら、いきなり何の脈絡もなしにミオからメールが来た。しかもその内容はおそらく俺宛に打った物ではない。大方友人とやり取りをしていたところ、俺に誤送信したというところだろう。

だがそんなことは今の俺にはどうでもよく、俺はメールの文を読んで悶えていた。

『いいでしょ?京治くんってああ見えてすごく心配性だけど、私のこと大事にしてくれてるんだ〜。どのくらい好きって……宇宙一?』

なんてかわいいことを言うんだろうか、この恋人は。
さて、これに返信をすべきかと悩んだが、おそらくミオのことだから、誤送信に慌てふためいていることだろう。からかってもよかったが可哀そうだったのでそれはしないことにする。
にやける顔を取り繕って、俺はミオに返信した。

『俺もミオが宇宙一好きだよ』




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穂香さまリクエストです。
赤葦くんで「風に乗れ」続きです。
期待に添えたか分かりませんが精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


170706