伝わらない(「
あの子と私と彼私」続き)
伝わらない
失恋の傷はそう簡単には癒えないものだ。俺はここ最近、幼馴染みのミオに愚痴を言ってばかりだった。
「ほんと、俺がフラれるなんてさー」
「徹は自信過剰なんだよ」
愚痴といっても毎日同じようなことばかり繰り返している。それはミオもおんなじで、毎回おんなじ答えを吐き出すばかりだった。
「ミオ、もっと慰めたりとかしてくれないの?」
「慰めたって徹が立ち直れるわけでもないでしょ?」
昔からさばさばして男勝り。見た目もボーイッシュでよき話し相手。
だけど最近、そんなミオといると心穏やかになっている自分に気づいた。今さらなのだが、もしかしたら俺はミオが好きだったのかもしれない。とはいえ、まだこの気持ちに確信はない。
「ミオってほんと、可愛くないね」
徹が失恋してしばらく経つけれど、徹は一向に立ち直れそうになかった。何か私にできないかと考えた結果、
「一くん、食べてみて」
徹のために甘いお菓子を作ることにした。自信がなかったので、最初はもう一人の幼馴染みの一くんに味見をしてもらうことにした。
部活終わりの一くんを捕まえ、クッキーを手渡した。
「ちょっと甘すぎねえ?」
「そう? 徹は甘党だからこれくらいじゃない?」
一くんに味見してもらったのはクッキーだ。私も味見にとクッキーを口に入れる。甘く口の中でほろほろと崩れるそれに頬が緩んだ。
「何してんのさ」
そこに間の悪い徹が現れ、私はとっさにクッキーを背中に隠す。一くんも私に倣いクッキーを背中に隠した。
「別になにも。ね、一くん?」
「お、おう!」
だけど徹はみるみる眉間にシワを寄せ、
「いい気なもんだよね。俺が失恋したの、楽しんで」
「徹?」
「岩ちゃんといちゃついて自分は幸せで? 俺、ミオなんか大っ嫌いだから!」
徹は私たちに背を向け走り去る。
何に怒っているのか、私にはわからなかった。わからなかったけれど、徹を追うこともできなかった。
「一くん、わたし」
「……泣くな、ミオ」
泣かずになんかいられなかった。徹のために頑張っても報われない、この関係が、辛くて辛くて仕方がなかった。
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柚希さまリクエストです。
及川くんで「
あの子と私と彼私」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
170821