あの子と私と彼私

(「頑張る君が」、「どうして君を」とクロスオーバー)



あの子と私と彼私



及川徹。
誰もが認めるイケメンで、学内外問わず彼のファンはあまたいるが、私もそんな彼に魅了された女の子の一人だった。とはいえ、私が他のファンの子と違うのは、私が徹の幼馴染みだという点だろう。

「はー」

そして今、私は徹の恋話を聞いたばかりだ。時は昼休みの食堂。
なんでも、徹の思い人は私と同じクラスの矢巾が好きだったのだとか。

あの子は確かにすごく可愛らしい子だった。私なんかとは正反対の容姿の持ち主。
私は背が高くてボーイッシュだから、徹もこうやって私には何でも話してくれる。

「でさ、矢巾が好きなんだって。この俺がフラれるなんてありえなくない?」

「……自信過剰。好き嫌いは誰にだってあるよ」

「少しはフォローしてよ」

「してほしいの? 私に?」

「……いや。そんなことしたらミオらしくないからいいや」

ふーん、と生返事をして私は徹の顔を覗き込んだ。らしくなくしょげた顔に、何となく徹の頭を撫でてみる。

「何してるのさ」

「別に。慰めてるだけ」

徹の心に私は居ない。徹は今でもあの子が好きなのだ。可愛らしいあの子が。あまやかに笑うあの子が。

私と正反対の、あの子が。

悔しさと嫉妬が入り交じるなか、私は徹の頭を優しく撫で付ける。いつもなら受け入れないであろうこの行為も、今日だけは素直に受け入れている。今だけは、徹は私を見てくれている。それが幼馴染みとしてのそれだとしても、今の私には十分すぎるほど幸せな時間だった。



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柚希さまリクエストです。
及川くんと幼馴染みのお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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