いつからか

(「伝わらない」続き)



いつからか



ミオと岩ちゃんが仲良くなっていた。そりゃあ、確かにミオと岩ちゃんは幼馴染みだから一緒にいてもおかしくない。だけど今まで、二人で会って俺に何かを隠すってことはなかった。
この前ミオと岩ちゃんは、俺に隠れて何かをしていた。何かを背中に隠した。もしかしたら、隠れてキスしていたのかもしれないし、隠れて抱き合っていたのかもしれない。知らなかったのは俺だけで。

「つまんない」

幼馴染みだからとこの気持ちに気づかなかった俺に怒る権利なんかないけれど、今さらミオへの好きの気持ちをおさえることもできない。

ゆえに俺は、あれ以来ミオを避けていた。焼きもちだ。それから俺の意地。

「及川いるか!」

そんな日々が続いたある日、珍しく岩ちゃんが俺の部屋を訪ねてきた。怒っているのか声を荒らげ、俺の部屋のドアを勢いよく開けた。

「お前はバカかっ!」

その勢いのまま俺を殴る。え、なんで?
俺は頬に右手をあて、岩ちゃんを見る。青筋を浮かべる岩ちゃんは、

「お前、何でミオを避けてんだよ」

「だ、だって岩ちゃんといい感じじゃん」

「……はあ。お前な、この前のあれは、ミオがお前を励ますために焼いたクッキーの味見を頼まれただけで」

「えっ?」

つまりはすべてが俺の勘違い。勘違いも甚だしい。俺のためだったなんて。

「わかったんならミオに謝ってこいや!」

岩ちゃんに背中を押され、俺は隣の家にいるミオのもとへ走っていた。何てことをしたんだろう、ミオは俺のためにいつだって真摯に向き合ってくれていたというのに。ミオはずっといつだって俺を思ってくれていた。今ならわかる。
いつからか俺も、ミオに幼馴染み以上の感情を抱いていた。
この気持ちを、君に伝えたい。

ミオの家のチャイムをならし、ひとつ深呼吸をした。




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柚希さまリクエストです。
及川くんで「伝わらない」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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