かっこよくない

かっこよくない



ホワイトデーとはよくわからない慣習だ。
俺はお菓子売り場でうんうんと唸る。
バレンタインに、幼馴染みのミオと一緒に買い物に行き、その帰りに義理だと念を押されながらもチョコを渡された。

俺の幼馴染みは素直じゃない。だけど今回のバレンタインでそいつの気持ちはよくわかった。




「な、なに。英太」

「何って。だって今日、ホワイトデーだろ」

「あー、あ。そうだっけ?」

そうだっけ?、なんて言いながら、ミオは今日一日そわそわしていた。クラスが同じだからわかる。

「そんで、これ」

「え……?」

何を渡そうか悩みに悩んだ。
定番のキャンディにしようかとも思ったが、キャンディには深い意味があるらしいのだ。
キャンディは、"あなたが大好き"という意味があるという。それは少し重たいと思ってしまい、結局お菓子はやめた。

「英太、ありがとう」

「まあ、あれだ。お前も一応女だし」

「一応ってひどくない?」

ひどくない?
言いつつ顔は笑っている。
ミオは俺が渡したネックレスをまじまじと見て、それはもう嬉しそうにしている。

「それでさ、ミオ」

「なに?」

「あれだ。俺たち、付きあっちまうか?」

「え?」

我ながらカッコ悪い告白だ。

「し、仕方ないなぁ」

だけどなかなか、ミオも俺も素直じゃないから仕方ないのかもしれない。



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かあいくねえ」と対のお話です。


170310