私にだけ

(「教えて」続き)


私にだけ



気づいてしまったときにはもう遅い。
私は五色くんへの気持ちに気づいてからというもの、彼と今まで通りに接することが出来なくなっていた。
もとより、彼を見かけるだけで心臓が脈を速め、意識しているのは誰の目からもあきらかだった。ただ一人、五色くんを除いては。

「霜月、最近変じゃない?」

「五色くん、その」

でも、毎回毎回避けられるわけもなく、今日は運悪く五色くんに捕まってしまう。昼休みの誰もいない廊下だ。

「体調悪いの?」

「べ、別に何もないよ」

「そう?」

五色くんは優しい。
きっと私じゃなくても誰彼構わず心配して回るんだろうな。思ったら嫉妬心が私を動かした。

「五色くんって、誰にでもそうやって心配するの?」

「え? いや……霜月だけだよ」

彼は嘘が下手だから、その言葉が本当であることはすぐにわかった。わかったのと同時に、私の嫉妬心はどこかへ消えて、満足感に包まれていた。



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穂香さまリクエストです。
五色くんで「教えて」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



170509