バレンタインチョコをキミに…(キバナ)

前日憚L●NE

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バレンタインデー当日の昼下がり。
チョコレートはローズさんに渡すことを公言し、オレさまだけではなく、ダンデにも呼び出しのL●NEをしていることから、皆にチョコレートを配っているようだ。

当然自分にも義理として渡してくるだろうとは思ってはいるが、万が一、万が一にでも本命だった時のために、一応今日はオフにした。

この日のために、ローズさんが着ていそうな大人っぽいトレンチコート(オレさまの身長だととても似合うと自画自賛している)を買って、パンツも黒のパンツとシックに決めている。

願わくば、オレさまのこの服装をみてオレさまのこと意識してくれねぇかな…いっそ髭でも生やしてみるかなど、ショウウィンドウに映る自分を眺めてはソワソワとして落ち着かない。

義理だ義理チョコキバナと言い聞かせるが、心のどこかで本命だったらと思っている自分がいる。

『お待たせっ!!』
そうこうしている間に彼女がやってきたようだ。白色のふわふわしたニットにスキニーパンツに高過ぎないヒール。首にはピンクのマフラーが巻かれ、その中に入り込んだ髪の毛が膨らんでいる。可愛い。

「いや、待ってねぇよ。それより、チョコはローズさんには渡してきたのか?」
『うん!毎年嬉しいよってすごく喜んでくれて!見てる私まで嬉しくなっちゃった!』
「そ、そうか」

あのイケオジめ、毎年もらってるのか…!

『他のみんなにも午前中に全部配ってきた。流石に個数が多かったから百貨店のチョコになっちゃったんだけどね』
「じゃぁ、あとはオレさまだけか?」 

『…うん』 
頷くまで少しだけ時間をあけたナマエにオレの胸がトクンと小さく鳴った気がする。

『あのね、キバナ…これ、受け取って欲しいんだ…』

そう差し出されたのは、ネイビーとオレンジでスタイリッシュにラッピングされた小箱。
まるでオレさまカラーじゃねぇか。

なんて自惚れていると、
『これ、キバナをイメージして作ったの。キバナのためだけの、チョコレート…』

オレさまだけの…?さっき、皆に配った分は市販だったって…まさか…もしかして、本当に…
思わず目を見開いて固まるオレさまに、 

『あ、ごめん…!やっぱ手作りとか嫌だった…?一応百貨店のもあるからそっちを…』

なんてカバンにしまおうとするものだから、思わずその手を掴んだ。

「オレさま、これがいい。お前がオレさまだけのことを考えて作った、このチョコがいい」

するとナマエは顔を真っ赤にさせて、
『これで、いいの?』
と上目遣いに聞いてきた。その顔はもう、恋をする女の子で。思わず抱きしめたくなるが、ここは我慢だ。

「これがいいんだ。だけどな、ナマエ。オレさまがこれを受け取るってことはどういうことか分かるか?」
と意地悪く笑いかけてやる。

するともっと顔を赤くしたナマエが、
『このチョコを出した時から、私の気持ちなんて、分かってるくせに…』 

と呟く。

「いいや?オレさまわからねぇなァ?」なんて少しいじめてやればナマエは、

『キバナのこと、好きだから…私と…』

その先は言わせなかった。オレさまが聞きたかったのは 好き という2文字だけ。その先はオレさまが言うために、ナマエの唇をオレさまの口が塞いだ。長いキスのあと、

「オレと付き合ってくれるよな?ナマエ」

ニヤリと笑いかけてやった。

→番外編(ローズ)
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