ジョルノくんは帰したくない


ジョルノとパティシエ見習いの数年後。


「キミ、日本へ帰るというのは本当ですか」

「ジョルノくん!一人なの?もう遅いのに…」

「一人ですよ。それよりも、僕の質問に答えてください。…もうすぐ、日本へ帰国すると耳にしたのですが…それは本当ですか」

「…うん、本当だよ。わたし、今月いっぱいで日本へ帰るの」

「お店にキミの作ったドルチェがメニューとして採用されたでしょう。客からも好評と聞いている。何故、こんな急に…」

「うーん…もともと、成果が出ても出なくても、数年って両親と約束してたんだ。だから、急にってわけでもないんだよ。逆に、結構予定より長居しちゃったくらい」

「…ここにずっといるつもりは最初からなかった、ということですね」

「え、うん…まぁ…一応、親に送り出してもらった身だから。それに、やっぱり本場イタリアのお店で採用してもらったドルチェも食べてもらいたいしね!」

「それは一時帰国で済ませればいい。なにもこの国から立ち去る必要は…、」

「ジョルノくん…?どうしたの、なんか…いつもとちょっと雰囲気違う…」

「…すみません…ただ僕は、なまえ。貴女を帰したくないんです」

「…え?」

「キミや、キミのご両親のことを考えれば、これはただの、僕一個人の我が儘でしかない。それでも…僕はなまえと離れたくないんです。一度離れてしまえば、きっともう僕たちが出会うことはない」

「ジョルノ、くん…え、待って、そんな…告白、みたいな…」

「みたい、じゃありません。僕は今、なまえに告白をしているんです。愛の告白ってやつをね」

「〜〜っ!?」

「なまえ、キミがこの国へ戻って来てくれるというなら、僕は助力を惜しまない。住居もそのままにしておけばいいし、諸々の手続きだってこちらで処理しておきます。だから、」

「ま、待って!」

「……はい」

「えっと…気持ちは、嬉しいです。ありがとう。でもね、その…ジョルノくんに迷惑かけたくないよ」

「迷惑だなんて思いません。そもそも、これは僕の我が儘だ」

「ううん、わたしだって…この国が好き。お店のみんなや、街の人たち…もちろん、ジョルノくんのことも…だ、だいすき」

「なまえ…!」

「だからね!わたし、絶対に戻ってくるよ!一度日本へは帰るけど、またお金を貯めて、今度はちゃんと自分でこの国へ来る!」

「絶対、ですか」

「うん、絶対。約束する!…あ、それまでの間、手紙とか書くよ!」

「…待つのは慣れていますが、少し心配です。先に、キミの実家の住所を教えてもらえませんか?」

「心配しなくてもちゃんと手紙送るよぉ。…でも、分かった。えっとね、これがわたしの実家の住所」

「ありがとうございます」

「そんなに心配なら、約束の署名でも書く?なんてね」

「いえ、この住所があればその必要はありません」

「ふふっ、分かった。…待っててね、ジョルノくん」

「ええ、また…必ず。…と、その前に、もう遅いですから送りますよ」



若干病みの気配を感じる…。




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