続・承太郎と幼馴染(腐)


承太郎と幼馴染(腐)の続編。

※注意※
前回同様、なまえさんは腐女子です。
あくまでゆるめですがそういう表現がありますので、苦手な方は十分ご注意ください。


最近、花京院となまえの仲がいい。
ダチと幼馴染の仲が良けりゃ妙ないざこざもなくていいだろうとは思う。

思う、が。

「この間、なまえさんに昔のアルバムを見せてもらったんだが…キミ、一体どこで道を誤ったんだ?」

「アルバム…?あいつにか」

「ああ、3日前に」

3日前…。
いつもなら英語の課題が出た日には決まっておれのところへ泣きついて来るなまえが、課題が出たにも関わらず上機嫌だった日。
そして課題はどうするのか尋ねたおれに、「ふふっ、今日は友達が遊びに来るから、一緒に課題するの」と、満面の笑みで返してきた日。

そりゃああいつにだって他のダチがいることくらい知っている。
だがそれは女の話だ。
なまえの家で、と聞いた時、おれはそれが女だと思って疑わなかった。

それが、まさか。

最近ではいつもどおりになりつつある、少し後方にいるなまえを振り返る。
相変わらずほわほわした謎の笑顔でこちらを見ているなまえだが、その視線は果たして“おれ達”に向けられているものなのか?

「…承太郎、どうかしたかい?」

「…なんでもねえ」

なんの確証もねえだろ。
なにを焦ってんだ、おれは。

訝しむ花京院の顔をまともに見ることができずに、おれは前だけを向いて歩を進めた。




しくじったかな。
いつも以上に口数の減った承太郎に、過った言葉は多分間違いじゃあないはずだ。

僕は発言をしくじった。
どれが、という明確なことまでは分からないが、なまえさんの家に僕が訪れたことを承太郎は悟ったんだろう。

好きな子が自分の家に男を招き入れただなんて聞いたら、そりゃあ疑いたくもなるよな。

…なんて、他人事のように考察している場合じゃあない。

承太郎は僕にとって初めての友人。
こんな風にぎくしゃくするなんて御免だ。

だからといって、どうしたらいい?
僕はキミが彼女のことを好きだって知っているから安心しろ、だなんて言えるわけがない。
今はなまえさんだって近くにいるのだから。

そうか、なまえさんが外している時に言えばいいじゃあないか。

よし、それでいこう。

学校はもう間近だ。
あと20分もしないうちに始業のベルが鳴るけれど、今日は授業どころじゃあないかもしれないな。




授業も全部終わり、恒例となりつつある『二人の背中を眺めながら帰る幸せなひと時』を迎えようと息巻いていたのだけれど、委員会があるのをがっつりすっぱり忘れていた。

「先に帰らないでねっ!お願いだから待っててね!」

「それは逆に帰れって言ってんのか」

「そういうフリじゃないから!」

最後にもう一回「帰っちゃダメだからね!」と念押して、わたしは渋々委員会に向かった。

委員会なんていっても、どーせちょっとしたお知らせするだけだもん。
すぐ終わるもんね。ていうか終わってほしい。

承太郎も花京院くんも優しいから、多分帰っちゃったりはしないと思う。

でも、長い事教室で待たせるのも気が引け…はっ!

今。教室で。承太郎と花京院くんが。二人きり…。だと…?
むしろこれゆっくりの方がいい感じですかっ!?

でもでも、そんなわたしの知らないところでなんて!勿体ない!
あああ、だけど二人の邪魔するのも悪いよね−っ!

ダッシュで辿り着いたミーティングに使う教室前で頭を抱えていると、扉を開けた委員長に不審者を見るような目で見られた。




「やれやれ、騒がしい奴だぜ」

「でもなまえさんには怒鳴ったりしないんだな、承太郎は」

「…慣れてるからな」

先に帰るなと何度も念押して走って行ったなまえの背中を見送って暫く、教室内は本来の静けさを取り戻した。

野球部だかサッカー部だかの声が聞こえて来るが、なにを言っているのかまでは分からない。

花京院とは命がけの旅をしてきたわけだが、こんな日常でどんな話を繋げればいいのか。いまいち分からねえ。

「好きだから、だろ」

「…あ?」

「なまえさんが好きなんだろ」

突然なにを言い出すのか。
花京院の言葉に驚きあいつを見れば、訳知り顔で笑っていやがった。

「見てれば分かるさ」

「…お前は、」

「うん?」

「お前は、どうなんだ」

「僕?」

朝聞いた話じゃ、なまえは花京院を家に呼んだらしい。
おれだって高校に入ったあたりからなまえの家に行くことはほとんどなくなった。
なまえもほいほい男を家に上げるような女じゃねえはずだ。

なまえがどう思っているのかは分からねえが、それなら花京院は。
こいつは、なまえをどう思っているのか…。

「そりゃあ好きですよ。もちろん、友達として」

わざとらしい言い方に若干腹が立つ。
だが、花京院の浮かべる笑みは、じじいが人をペテンにかけた時のようなものでは決してなく。

認めたくはねえが、花京院に嫉妬していた自分が…随分と馬鹿馬鹿しく思えた。




うぉおおおおおい!なんじゃああああこりゃあああああ!!

叫びたい衝動をそりゃあもう必死に抑えているわたしがいるのは、二人をお待たせしている教室前。

案の定というかなんというか、委員全員にプリントが配られて、「来月のスケジュールです。確認しておいてください」「質問はありますか?」「ないですね」はい、以上!
委員会終了のお知らせ!わーい!委員会はこれでいいんかーい!

と、まぁそんな感じで終わった委員会。

すぐさま戻るかどうかをちょっぴり悩んだのだけれど、やっぱりお待たせしている身だしさっさと戻って来たわけなのですけれども。

教室に入る前に、扉の上にはまっているガラス部分から見えた二人がちょー絵になっちゃう感じだったわけで。
しかもなんだか気になる会話しちゃってるわけで。

流石に扉越しだからよく聞こえなかったけれど、花京院くんが今「好きなんだろ?」って言ったのが聞こえました。確かにそう聞こえました。
腐女子イヤーなめんな。

あまりにも気になったので、屈んで扉に耳を貼りつけてみちゃうのは、しょうがないことですよね。ですです。

「見てれば分かるさ」、「お前は、どうなんだ」、「そりゃあ好きですよ。もちろん、友達として」。

…これはもうさ、あれですね。わかります。

「ありがとうございましたァアアッ!」

抑えきれずに駄々漏れたお礼絶叫は、補習をしていた何処かの教室から先生が飛び出して来るほど響き渡った。
もちろん、承太郎と花京院くんも飛び出して来て、わたしはめちゃくちゃご立腹の先生から逃げるため、二人に手を引かれて帰路へ着いたのだった。

明日からもう少し離れて歩いた方がいいかしら。えへへっ。







end

『腐女子の続き』とのリクエスト。
ガチで前回の続編にしてみました。
楽しんで頂けましたら光栄でございます。
…個人的には、書いていて大変楽しかったです。




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