蒼と初めて会った日。


***


「それでさー、聞いてんの?真冬―?」

「あ、うん。聞いてる」


中学1年の、もうそろそろ冬が間近になってきた、ある日の下校途中。

ふと視線を感じて振り向くと
……黒くて長い、すごい高級そうな車の横に驚くくらい綺麗な少年が立っていた。

別にそんな熱のこもった視線とかじゃなくて、ただこっちを無表情に見てただけなんだけど、自然と目がひきつけられて。

なんか見られてるなぁなんて思いながら、手を振ると驚いたような表情をしてぷいと顔を背けられてしまった。


「…余計なことしたかな」


そう呟くと、隣にいた友達が「んー?誰に手、振ってんのー?」と首を傾げて覗くようにそっちを見る。

その目が見開かれる。


「やっべ、あの車超高級車じゃん。俺見たの初めてだわー」


やけに興奮して、金持ちとはなんやかんや語りだした友達に苦笑しつつ、車が消えた方向を視線で追う。


(もう一度)

(あの綺麗な瞳を見たいと思った)

――――

真冬が蒼に監禁されるまで、あと3年。
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