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(…え…?)
状況がよく理解できなくて目を見張る。
当たり前のように部屋に入ってくる女子達に、自然と身体が後ろに引き気味になった。
「…確か女子は部屋に来たらダメだって先生が…、」
言ってなかったっけ、と記憶を探りながら聞いてみると。
二人の男子は「えー、楽しい方がよくね?」「なー」と不満げに鼻を鳴らした。
女子の”お誘い”って言葉からこの二人が呼んだんだろう多分。
眉が自然と寄る。
…やっぱり、根本的にこの二人は無理だ。あわない。
「……おれ、」
出ていくから。
そう続けてすぐにこの場を去ろうとした。
呆気に取られている時間なんかない。
今ここから逃げないと永遠に逃げられなくなるような気がした。
腰を上げると、誰かにぐいと腕を掴まれる。
「お邪魔しまーす。真冬くん、よろしくー」
「え、」
しかも掴まれた腕の方向を見ると、できれば同じ班になりたくないと思っていた女子達のグループの一人だった。
「真冬くんもいるってー。ね?」
あたかもおれが拒否することはありえないというように皆に決定事項で伝える彼女に、依人以外の全員が「当たり前じゃん」「だよな」と口々にそう言って笑った。
あああ、もう、
「……(なんで、こんなことに、)」
腕を掴む女子に「ね?」と上目遣いで見られる。
「い、」嫌だと呟いて腕を引き離そうとした瞬間、態度を変えて「お願い。真冬くんのこと好きな子がいて、ちょっとだけでいいから話させてあげたいの」と小声で囁いて、別の方を指で示した。
その女子と目が合うと、赤くなって嬉しそうな顔で近寄ってくる。
「…(い、嫌だ)」
本気で、嫌だ。
今すぐにでも逃げたい。部屋から出たい。
……男なんて俺じゃなくても、他に幾らでもいるだろ。
ただでさえ人と話すのが苦手なのに、男だけじゃなくて女子まで増えるとは聞いてない。これ以上耐えられない。
最低かもしれないけど、そこまで考えるほど心理的に追い詰められていた。
「ね、真冬くん」
「……」
何故か初めておれと話すのに、名前呼びしてくる。
もう片方の腕をその子に掴まれて、両サイドから引っ張られる格好になる。
なんでこんなことになってるんだ。
皆ニヤニヤとこっちを見るばかりで、困っているおれの反応さえも楽しんでいるように見える。
「…おれ、うまく女子と話せないから」
「いいの。それでもいい」
内心泣きそうになりながら、それでも嫌だと拒むように腕を引っ張れば傷ついたように涙ぐまれる。
ここまでされて拒めるわけもなくて、渋々と床に座りなおした。
「…(早く終わらないかな)」
まだ始まったばかりなのに既に解放されることを考えながら、視線をなるべく床に向ける。
「まぁ、別に俺は構わないけどねー」
依人は依人で、ふわあと欠伸を零しながら、女子の一人にターゲットを絞って話しかけている。
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