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「うおー!」「やろうやろう!」と盛り上がる皆についていけなくて、内心戸惑う。


(王様ゲームってなんだ…?)


聞いたことも見たこともない。
なんで皆知ってるんだろう。これって、鬼ごっこみたいな小さいころから皆よくやる遊びなのかな。


「ほら、真冬。引けよ」


椙原君まで、最初苗字呼びだったのにいつの間にか名前で呼んでいた。
いや、別にいいんだけど…、距離の詰め方が尋常じゃないくらい速いと思う。


「…………」


缶に割り箸が何本か入っていて、それをじっと見る。


(…引くって、この割り箸を選んで取ればいいのかな)


女子の何人かがすでに引いていたらしく、「ほら、一本選んで」とせかされて、今更やらないなんて言うわけにもいかずに少し悩んで引き抜いた。


「…(2番)」


下の方に小さく数字が書かれている。

この数字何に使うんだろうと不思議に思って首を傾げつつ、それを見ていると「あ、真冬くん2番だって!」と大きい声で、佐原さんが叫んだ。


「…へ?」


いきなりの大声にびくりと肩が震えて、見ると彼女は「えへ」と頬を緩めて笑う。

それに対して、「ほう、真冬君は2番かー」「こりゃあ、最初は決まったな」と、こそこそとした呟きが聞こえてきて呆然とする。


「…(なに…?)」


全く王様ゲームというものを理解していないせいで、皆の反応の意味が分からない。

誰か説明してくれと周りを見回しても、何かを企んでるように笑うだけで。

蒼くんに助けを求めるように視線を向けると、怖いくらいの無表情で彼はおれをじっと見つめて、やっぱり何も言わずに視線を逸らされる。


「…(うう…。泣きそう)」


蒼くんと喧嘩みたいなことしたことないから、余計につらい。

後でちゃんと事情を説明したら許してくれるかな…。

このまま永遠に無視され続けたら、どうしよう。

ひたすら落ち込んで肩をおとしていると、「じゃあ、決まり文句なー」と椙原君の声で、皆が一斉に叫ぶ。


「王様、だーれだ!!」

「………」


おうさま…?

疑問しか浮かんでこなくて、状況を見守っていると「あ、わたしだ!」と一人の女子が叫ぶ。


「ゆっちゃん、私の番号5番だから」


佐原さんが自分の番号を告げて、「おっけー」と確認しあっている。

やっていることの内容はわからないけど、こういう遊びはしたことがないから、何が始まるのかちょっとどきどきする。と、おうさま?の女子がにんまりと笑って声を張り上げた。
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