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やらないと。勉強しないと。
その声に突き動かされるように、身体が反応する。


「…帰る…」


ぼうっとする頭でそれでもと怠い身体を起こそうとすると、肩を押さえられてまたベッドに戻された。
その手に反抗するように暴れる。
…でも、真剣な表情をした蒼に、「だめだよ」と注意を受けた。


「や、でも…っ、勉強が」

「だめ」


「熱、38度もあるんだから」といわれ、だからこんなに寒気を感じるのかと素直に納得できた。


でも、と思う。

その強い口調と真剣な表情に躊躇って、それでも口を開く。
「…っ、もっと勉強しないと、間に合わない、から…ッ、」と蒼に言えば、彼は困ったようにため息をついた。


(…あ、)


呆れたような表情に、ハタと気づく。

そう、だ。
多分蒼が運んできてくれたのに、おれ、…今お礼も言わずにわがままばっかり言ってる。

あああ、もうなにしてるんだ。おれのばか、と涙ぐんで、焦りと情けなさで本気で泣きそうになる。
震える唇で…少し、口ごもった。


「…あの、ごめん。ありがとう」

「何が?」

「ここまで運んでくれて」


なんとなく、抱きかかえられたのも少しだけ覚えている。

…あの時の、ぼんやりとした意識の中で、…今まで以上に焦った蒼の表情が記憶に焼き付いていた。


”まーくん…ッ、”


本気で心配そうで、焦りを滲ませた声と、顔。
友達のそんな顔を見れて嬉しいなんて、酷いかもしれない。

でも、嬉しかった。
すごく心配してくれてるってわかったから。


「…ありがとう…」


心を込めて、息を吐くように言葉を零す。
誰かに心配してもらえるということは、とても嬉しいことで、とても幸せなことで。
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