3
その爽やかな笑顔にほっとする。
(俊介には色々教えられてばっかりだな…)
多分俊介に言われてなかったら、俺はずっと蒼にべったりのままで、もしかしたらそれをうざいと思われて距離を置かれてしまったかもしれない。
…絶対にそんなの嫌だ。蒼に嫌われるのは…嫌だ。
なんて、思った矢先、
「…(やっぱり…)」
教室を覗いてみて、罪悪感で泣きそうになる。
……見なければ良かった。
蒼は女男ともに囲まれていて、その机に教科書があるところをみると勉強を教えているようだった。
いつもなら蒼が気づいてきてくれるけど、今日は昨日よりも人が多いから、多分むこうからは俺を見つけることはできない。
(……メール、打っておけばいいや)
『今日は俊介たちと食べるから、蒼も友達と食べてください』
打ち込んで、携帯をパタンと閉じる。
そうして俺は蒼に声をかけることなく、俊介たちの方に戻ったのだった。
―――――――――
それが、歯車を狂わせた原因の一つになるとも知らずに。
[back][TOP]栞を挟む