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今日初めての委員会があった。

少し長引いてしまったために、外はもう陽が落ちて暗くなっていた。

蒼には遅くなるから先に帰ってほしいとメールはしておいたから、きっともういないだろう。
…というか、蒼が教室で皆と仲良さそうな感じだったから、勝手に自分が考えすぎてちょっと避けてしまっているのもあった。


「雨、凄いね…」


同じ委員会に参加していた彼女の言葉に同じようにざーざー降りの外を見て気分が沈む。


「…あー、…傘忘れちゃった…」

「…あの、…俺持ってるから、一緒に入っていく?」


鞄の中を見てげんなりとする吉原さんに声をかけると「え、いいの!?」と顔を明るくする。


「あ、でも家私と反対方向じゃなかったっけ」

「吉原さんが良ければ、外暗いし送るよ」

「え、イケメンじゃん」


普通に一人じゃ危ないだろうと思ったから言っただけなのに、なぜか感動したような目でみられてしまってたじろぐ。

色々話してて思ったけど、吉原さんは接してて楽だ。
俊介に言われた通り、こうして蒼以外の人と話してみるのって凄い大事なことなんだって改めて思った。


「…っきゃ、」


雷が鳴った瞬間、吉原さんが怖そうに縮こまって身を寄せてくる。
顎に触れた髪が、なんだか女子特有っていうとあれだけど…いい匂いがした。
……と同時にどうしていいかわからずに戸惑う。


「…こういう時、真冬くんって一歩引くよね」

「え、」

「女子がアピールしてるとき」


腕を掴み、胸を押し付けるようにして見上げられる。


「…っ、え、いや、」

「慌てて焦ってる真冬くんが可愛いのってほんとだ」


すっと離れていった体温に、…揶揄われていたのだと気づく。


「ほんとだ、って何それ…」

「噂で聞いたの。真冬くんって迫られると可愛い反応をするらしいって」

「…誰に、そんなの…」


はぁ…と息を吐く。一気に疲れた気がした。きっとこれも冗談なんだろうと自分を納得させた。
慣れなさ過ぎて勝手に熱くなる顔が恨めしい。


「…っ、ぁ、」


声を上げた吉原さんがぱっと離れる。
頬を紅潮させて、何やらもじもじし始めた。
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