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結局…なんとなくいつかはこうなるような気はしていたんだと思う。

やっぱりあの時に思ったことは間違ってなかったんだ。

蒼は俺に、そういう行為がしたかったから。

俺が蒼に何度こういう行為をされても蒼から離れられないから、蒼は俺を友達にしたのかな…。

謝ってくれたのも、俺のことが好きじゃなくても、そうやって都合よく俺を利用して、結局またこういうことができるからだったのかな。

だって、そうじゃなかったら…こんなこと何度もしてくるわけがない。


「やっぱり蒼が俺のことを好きだって言ってくれたのは…嘘だったんだ」

「……」


そんな自嘲気味な俺の呟きに、ほんの微かに蒼がぴくりと反応した。
少しの沈黙の後、声が聞こえる。


「嘘だった」

「……っ、」


その言葉に、びくりと身体が震えた。
止まっていた手がまたゆっくりとヌヂュ、ヌヂュ、と動かされ始めて、声が漏れる。


「ぐ…っ、や、ぁぅ…っ、は、ぐ、…っ、ゔぁ、ぁあ…っ、!!」


止める暇もなかった。

陰嚢を手でもまれると同時に指の腹で尿道の入り口を撫でまわされ、腰をガクガクさせると徐々にスピードが速くなる。
めちゃくちゃになるくらい、手つきでごりごりした竿や亀頭の皮を上下に擦られて、一気に射精感が込みあがってくる。

きゅーっと下腹部が痺れ、今まで以上の意識が飛ぶような凄まじい快感。

(やばい…っ、……い、く…ッ)


そう感じた瞬間、視界が真っ白になった。
白濁液が床とズボンに零れる。


「…っ、はぁ…っ、…は…ぅ、」


…と、目の前から身体が退く。
崩れ落ちるようにして床に倒れ込もうとすると、お腹に回された腕に抱き上げるように持ち上げられ、性器から離された手が下着とズボンを一緒に掴むのが見えた。

喉の奥から悲鳴があがる。


「や、…っ」

「最初から、好きじゃなかった」


ぽつりと零される言葉。


「――ッ」


蒼の何の感情も浮かんでいない瞳が、瞬きもせずに冷たい瞳で俺を見据える。

そんな抑揚のない声とともに、掴んだそれを一気に膝下までおろされた。

でも俺は今蒼の口から放たれて、耳にしたその言葉に、胸が潰れるような感情で心がいっぱいになって…すぐに反応することができない。


「ずっと思ってた」


耳のすぐ後ろで、蒼の声が囁く。
「ぁ、う…っ、」耳に何か柔らかいモノが触れる。
吐息が肌に触れて、それが首筋に降りていく。
そのくすぐったいような感触に、身体が震えた。


「まーくんの泣いた顔が見たいって」

「…っ」


彼の首元からスルリと解かれたネクタイで、手首を1つに纏められた。


「性欲に溺れて我慢できない顔が見たいって」


もう、何も抵抗できない。
縛られたからではなく…別の理由で身体が、動かせない。


「犯されて、それでも俺を恨み切れない顔が見たいって」


後ろから抱きしめるように回された手に、ワイシャツのボタンが上から外されていく。


「――ずっと、思ってた」


前のボタンが全部外されても、それでも暴れるような気力ももう残されていない。
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