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それから何日もたったある日。
「柊君、おはよっ」
「わっ」
ぎゅっと後ろから抱きしめられて、誰かと思って振り向けば板本君だった。
あの日以来、すごく懐いてくれて、時々朝の挨拶をこんな風にしてくる。
にこにこと俺を見上げて笑う板本君を見ていると、やっぱり蒼の言うような危ない感じはしない。
板本君が危険だったら、俺は今こんな普通に笑っていられないと思う。
本当に挨拶をしに来てくれただけだったらしい板本君が手を振って、教室に戻っていくのを見て自然と笑みが浮かぶ。
「…え、真冬。あいつと仲良くなったのか?」
「あ、うん。友達になった」
丁度隣にいた俊介が、何故か眉を顰めて微妙な顔をした。
顎に手を当てて、んーと声を出した俊介は納得できないという表情で首を傾げた。
「…へー、真冬と板本がなぁー。仲良くなったのか…」
「…?」
「いや、うん。特に意味はない。気のせい…だと思う」
よくわからないことを言って、俊介は笑って首を振った。
でも、その目が板本君の消えた背中を追うように見つめていた。
その日の帰り道。
「…まーくん、なんでいっつもすぐに友達って言われたら安全だと思っちゃうの」
「え、いや、そんなこと思ってないよ…!?」
じいっと疑り深い視線を向けられて、慌ててぶんぶん首を振って否定する。
否定してから、もう一度今までのことを振り返ってみる。
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