6
…多分、思ってない。
「板本ってやつのことは?」
「蒼の言いたいことはわかるけど、……すごくいい子だと思…うにゃっ」
多分、蒼は前言ってたみたいに危険だから近づくなって言いたいんだろうと思う。
でも、友達になってくれたし、今のところ大丈夫そうだし、…って言う感じで前よりは警戒を緩めるようにはなった。
…と、考えてる間に、むにっと頬を蒼に手でつままれた。
「ばか」
何故か怒ったような表情でそんなことを言われながら、ぐいーんと片方の頬を引っ張られてちょっと痛い。
「ばかばかばかばか、まーくんのばか」
「あ、あにふるんあよ…!」
何するんだと抗議の声を上げながら、どんどん引っ張られていく頬に、やばい今の自分の顔絶対に変なことになってると焦ってその手を外そうとすると、怒涛のバカ攻撃をされて流石にむっと眉が寄る。
しばらくほっぺをぐいぐい引っ張られて、俺の抗議に眉1つ動かさない蒼に、散々頬を弄ばれた。
手が離れ、じんじんと痛む頬をもう遊ばせないぞと庇う。
「…この状況であいつがいなくなったら、まーくんだって流石に気づいちゃうだろうし…」
「ああもう、もっと早くにすれば…」なんてぶつぶつと焦ったような表情で何かを小さな声で呟く蒼に首を傾げる。
キョトンと目を瞬かせて、一体なんなんだとその様子を見ていると彼は諦めたようなため息を零して俺の頭を撫でた。
「何かあったら、絶対に言って。いつでも呼んで」
「あ、うん。ありがと、う…?」
何故こんなに蒼が板本君を警戒しているのかわからなくて、お礼が疑問形になってしまう。
でも、心配してもらえるってことは嬉しくて、自然と頬が緩む。
「まあ、まーくんの大抵のことは音声で把握できるんだけど」とぼそりと呟いて悩ましげな顔をして、再び歩きだした蒼に一瞬「…(…音声…?)」何のことだろうとは思ったけど、多分聞き間違えだろうと思い直すことにした。
「あ、そうだ。蒼って、ネックレス嫌いじゃない?絶対これ、とか好みある?」
「え?いや、ないけど…?」
不思議そうに返された言葉に良かった、と安堵する。
「何?」と尋ねてくる蒼に笑って何でもないと頭を振った。
[back][TOP]栞を挟む