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…それに、地面に血塗れで倒れている他の男達も、放っておいていいのか。

その俺の考えをよんだように、「大丈夫、あの転がってるやつらはなんとかなるから」と呟き、蒼は怪訝そうに眉を寄せた。


「まだあいつを友達だと思ってるの?」

「……わ、わからない、けど、俺…、」

「まーくんだってわかってるくせに」


呆れたように吐息を零して、彼は緩く微笑んだ。
本当にしょうがないなぁというような表情で、頭を撫でられる。


…と、突然笑い声のようなものが聞こえてきて、驚いて振り返ればゆらりと板本君が立ち上がっていた。


「そ……僕には見…てく……なかったのに……笑顔も簡単に…には見せて、優しく頭ま…撫で…もらえて…僕なんか……なってもいいのに…」

「…いたもとくん…?」


ぶつぶつと聞き取れないほどの声で何かを呟く板本君が、不意にこっち、俺の方を見た。

目が合う。


「ねえ、柊君。僕、本当に悪いと思ってるんだよ」


手で、手招きされた。


「ちゃんと謝りたいんだけど、さっき蹴られたでしょ?…それで、痛くてうまく動けないんだ。ちょっと手を貸してくれない?」

「う、うん。…わか、」


気のせいかもしれない。
けど、どこかおかしな笑顔の板本君に首を傾げつつ、一歩踏み出した時だった。


「まーくん…、危ない…っ」

「……ぇ、…っ、?」


焦りを滲ませた声に、振り返ろうとした瞬間。
板本君が後ろに隠していた手にナイフが握られていて、振り上げられる。


どういう状況かをやっと把握した瞬間、
腕を掴まれ、引っ張られた。

鈍い音とともに何かの重みが、身体に伝わってくる。
ぎゅっと目を閉じて身体に痛みが走るのを待っていても、一向にその痛みはやってこなかった。

おそるおそる目を開けると、……抱き締められていることに気づく。


(……あお、い……?)


後頭部に回された手によって首元に顔を寄せられ、俺を庇うような体勢で腕の中に閉じ込めている。


徐々にゆっくりと視線を動かすと次に目に入ってきたので板本君の青ざめた顔で。
ひやりと背中に氷が伝うような嫌な予感がして、視線を下に向けた。


「…っ、ぁ…」


目に言ってきた光景に血の気が引く。
恐怖で身体が震える。
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