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片手で皮をむきつつ根元を固定しながら、更に亀頭部分を手の平を使ってグチュグチュグリグリと扱く。他の部分には一切触れない。そこだけに集中してこれでもかというほど攻めた。さっきも塗りつけた精力剤も付け加えて性器を擦り上げた。水音が更に大きくなる。
もう限界寸前じゃないかと思えるほどの形をした性器。それと陰嚢が射精寸前で硬く引き締まっている。

ビクビクと痙攣して閉じる余裕もないのか、開いた唇の端から唾液を零して嬌声を上げていた。

そして弄りまくっていた性器がもうすぐでイキそうになったところで再び手の動きを止める。

勿論指は根元を掴んだままで。

ぎゅっと射精を止められて、眉を寄せた切なげな表情で吐息を漏らしている。


「…ぁ、あ…っ、」

「もうちょっと我慢」

「…っ、ぅ…ぁゔう…っ、あお、…っ?!!、ぁ゛、ひぃ゛い゛!!」

「我慢したらイイコトあるから」


多分。と言葉にせず心の中で付け加えておく。
人によったら拷問にしかならないかもしれないけど。

トロトロと先端の尿道口から少しずつ零れてくる液体も指に絡めながら、だらしなく開いた唇から何かを言おうとしているのを無視して、予告もせずに手を勢いよく動かして亀頭を再び擦った。


「い、ぃ゛た、い゛…!ぁ゛…っ!ひぐ…っ、!ぎも゛、ち゛、…っ、ぃ゛…っ!ぁ゛ぅ!ぁ゛あぁ゛…っ、はふれ゛…っぃ!」


助けてって言おうとしているのはなんとなくわかった。
それよりも痛いのか気持ちいのかどっちなんだろう。

M字に開かれていた脚がどうにかして刺激から逃れようと閉じようとして、足首に繋がれた鎖に阻まれる。
閉じられないような長さにしてるから、どれだけ力を入れても両足をくっつけることはできない。


「痛い?気持ちいい?」

「…っ、ぁにゃ、ぁ゛あ゛あ゛あ゛…!!ぁ゛や゛ァ゛ア…ッ、!」


質問に答えるどころじゃないらしい。
答えがどっちか聞き取れなかった。

…もしかしたら両方かもしれない。

指で亀頭をこねくり回しながら反応を愉しみつつ、ピクピク痙攣している少し括れた腰に唇を這わせる。


…それからイきそうになっていたのでまた止めた。
止めるの何度目だっけ。数えてないからわからない。


腰の辺りと破裂しそうな性器が小刻みに震えすぎてて傍から見ていて痛そうだし大変そうだな、なんて他人事な意見を持った。


「ぁ、…っ、ひ…っ、」

「……」


息をするだけも精一杯らしい。
俺の服を掴んでいた手は、最早力を失くして離れて、ベッドの上でひくひくと身体をビクつかせながら横たわっているまーくん顔のすぐそばにある。

その手足から伸びた鎖もシーツと同じように飛び散った白く精液でどろどろに汚れていた。

…凄い気持ちよさそうな顔してる。というか、妖艶すぎてこっちが我慢できなくなりそう。

ベッドの端に腰かけて顔だけそっちを向けていた体勢を、身体を少し前かがみにすることで距離を縮めた。

濡れた頬を舐める。…涙と汗の味。
ついでに耳の縁をなぞりながら舌を這わせていって、耳朶をかぷりと噛めばふるっと身体が震えていた。

ついでのついでに唇も柔らかく塞いで、問いかける。


「これでわかってくれた?まーくんは今、気まぐれに動かされる俺の手で一喜一憂してる。…つまり、俺が指を動かさないとずっとイけないってこと」

「…ぅ、え…っ、いじわる…っ、いじわるしないで…っ、ぇ…っ、」

「…意地悪?」


いじめすぎたのか声を上げて泣き出してしまった。
泣いているにも関わらずその瞳は変わらずに熱く欲情の色を灯して、もう耐えられないと訴えてくる。
今までにないほど、酷く優艶な雰囲気を醸し出していた。


「…っ、ひ、」

「意地悪じゃないよ。これは」


そう。勘違しないでほしい。

これは意地悪とか、そんなものじゃない。


「…愛してるから。まーくんのことが大切だから、こういうことするんだよ」


ふ、と目を細めて微笑む。
相手の反応も待たずに止めた指先を動かして先端をグチャグチャと擦り上げる。

聞いているこっちの喉が潰れそうだと錯覚するほど、普段では絶対に聞けない快感に溺れきった嬌声。
強すぎる刺激に腰が引けているのが見てとれる。

…でも、手を止めたりしない。

さっきよりももっと強く、もっと激しく。
時間がたつにつれて、汗でどろどろになっているまーくんの顔が苦痛と快感の入り混じった顔に歪む。
無理、と言葉にしなくてもその顔が物語っていた。


嗚呼、そういう顔を見て可愛いと思ってしまう自分はやっぱりどこかおかしいのかもしれない。


「や、ら!ぁ゛!、ひ!、ぬ…っ、ひ゛ん゛ら゛う゛ぅ…!あ゛ぅぅ…っ!」

「うん、大丈夫だよ。死んだりしないから」


一応これでもやりすぎないように程度は考えてる。

…でも、確かに本当に死んだらどうしよう。と喘いで暴れる姿を瞳に映しながら思考を散歩させてみた。

…ビクビク射精しながら涎と涙まみれで呼吸が浅くなって、死んでしまうくらいとてつもない快感だけを最期に味わって音もなく息を引き取るまーくんの姿。

(…んー…、やっぱり俺は今の方が好きだな)

まーくんがいなくなったら確実に俺もすぐにこの世から消えるだろうし。
一瞬で結論を出して、意識を目の前に戻す。
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