6

ぐったりとした重い身体を、受け止め切れずに一緒になって後ろに倒れそうになる。

一瞬何が起こったかわからなくて硬直した。
すぐ近くに感じる…尋常じゃなく荒い息遣い。


遅れて事態を把握する。


「…っ、くー、くん…っ、?!」

「……ぁ、」


軽く揺さぶると、その唇から小さく声が零れた。


「…少し、休めば…大丈夫、だから」

「で、でも顔色が、」

「…気のせい、だよ」


手で額に触れる。
そこは異常なほどの汗を滲ませていて、触れた瞬間手がじわっと音を立てて焼けるかと思った。

かなり、熱い。


「…っ、すごい熱…っ、どう、すれば…っ、」

「心配…しないで、」

「…ッ、くーくんのばか!」

「…まー…くん、」



こんな状態で、心配しないでいられるわけがない。


…しかも、ずっと一緒にいたのに、気づかなかったなんて、…なにやってるんだ、おれ。


しかもこういう時の対処方法なんて知らなくて、とにかく一人じゃ何にもできなから、他の人を呼びに行くために腰をあげようとすると、

「まって、」と弱々しく呼び止める声と、くい、と浴衣の裾を引かれる感覚。


…そして、胴に回された腕によって結局立ち上がれなくなってしまった。


「…ここに、いて」

「でも…」

「まーくんに、こうやってすると…元気になる、気がする、から」

「……っ、」


凄く辛そうなのに、どうみても場にそぐわないくらい優しくて…少し笑みを含んだような声。

それから彼は「だから、そんな泣きそうな顔、しないで、…」と微笑んだ。

…おれを、不安にさせないようにしてるのかな。


(…こんな、時まで、…)


早く誰かを呼びにいかないと、辛いのはくーくんの方なのに。

…だけど、腕を強引に振り払ってまで行くのも躊躇われて、どうしよう、と戸惑いながら、それでもこのままにできないとほとんど泣きそうな気持ちでくーくんの身体に触れて、離してもらおうとした。



瞬間、

ぬめっとした…温かい液体みたいな、感触、の

ゆらり、とそこに…自分の手に目を向ける。


「…っ…」


ひ、と息を呑んだ。


赤い、血。
それはくーくんの胸か肩か、少なくともそこらへんに触れた時にべったりとついた…ような気がして


「…ちょ、ちょっと、ごめんね、」


震える手で、急いで服を脱がす

…と、


「…っ、」


ほとんど肩と胸部のところに巻いている包帯が……真っ赤で、
prev next


[back][TOP]栞を挟む