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その手首を掴まれた。


「舐めてみる?」


上目遣いで問いかけられる。

…妖艶な、その表情が、「…っ、」やばいくらいに心拍数を上げた。


「…え。ん…っ、」


濡れた人差し指を唇に押し付けられて、否応なしに唇を開かされる。
口の中に入れられた指に舌先をなぞられて、つい今まで自分の性器を触っていたくーくんの指を舐めているんだと考えると、それだけでなんだかびりびりして腰が震えた。

どうにか舌に触れた液体を飲みこむ、
…けど、
「…わは、んない…」と眉を寄せて顔を背けると、くーくんが「美味しいよ」とおれが舐めた指を舐めながらそんなことを言うから、今すぐ布団に潜りこみたい衝動に駆られる。


それから、「まーくんの好きなクスリも、ちゃんと塗ってあげないとな」とチューブから出した薬?を直接性器にべっとりと塗りたくられた。


ぬちゅ、ぬちゅ、と液体を全体に擦りつけられる。


「…冷た…っ、」


傷のある部分からじわじわと染みて、痛みが生じた。

…――瞬間、


「…ッ、…ぁ゛、!?!?ひ…ッ、ひ…ッ、!…っ、」

「傷があるから余計に効きやすそう」

「や、なに、なに塗った、の…?」

「…薬、って言っただろ?」

「…っ、」


全身の毛が逆立つ程の快感が身体を襲ってくる。
痒い。性器が、ドクドクして、痒い。

おくすり、をくーくんが、塗ってくれて、

(ほんとに、…くすりの、はずなのに、…っ、)

開いた脚が、腰がぶるりと震えた。
性器が一気に硬さを増す。


「…ぁ、…っ、は、ぁ…っ、おれ、……ど、し……?」


痛みを含んでいた声が、まったく違う熱い吐息に変わった。

さっきとは比べものにならない程の快感。
痛みなんか忘れてしまうほどの気持ちよさ、狂いそうな程の快感。

…覚えが、ある、感覚。

全身から発汗した汗が、手足までぐっちゃりと濡らしていく。
先走りの量が異常で、性器に容赦なく触れた裏筋を強く擦る手に、毛という毛が全て逆立ったような気がした。


「…ぁ!、ひ、!や、ら、ぁ、…っ、」


指の腹で亀頭をグッグッと優しく押されて、「ひぁ?!!」思いきり腰がビクっと引く。
しかも、陰嚢までくにゅくにゅと揉まれ、喘ぎ声が止まらない。

思わず、少し下にあるくーくんの頭にしがみついて、ぶんぶん首を振る。


「…っ、ろ、ろっと…ッ、…まっ、れ、」


待って。本当に、息が苦しい、から、待ってほしい。
呂律が回らない。開いた唇から、みっともないほど唾液が零れ落ちて、

きもちよくて、あたままっしろで、くうきもすえてない。


「はは、凄い顔してる」

「…ぁ゛、ぁ…っ、ら、め…ッ、や、さわら、らい、で…っ、へぁ…ッ、」


限界だった。

浴衣を持ち上げることなんてそっちのけで、どうにかくーくんの肩を掴んで弱々しく引き離そうとしていた手は力を失くす。

ガクガクと小刻みに震えていた脚は大きく震えて、身体が崩れ落ちた。
床に膝をつく。
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