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だけど座り込んでもまだ脚を閉じることはできなくて、膝をたてた状態のまま、脚の間で変わらず無防備な性器を指先で弄られ続ける。


グチュ…ッ、ヌチャヌチャヌチャ…ッ、


「…っ、ぁ、あ!、や、ぁ!」


触らないでって言ってるのに、それなのに、くーくんの手は慣れたように硬くなってピンと上を向いたおれの敏感な性器を上下にグチュグチュ激しく音を立てて扱くばかりで、やめてくれなくて、表現じゃなくて本気で息ができない。性器をグチャグチャにされて、気持ち良さで勝手に腰をカクカク振ってしまう。

なのに、


「…っ、?!!!」


ただでさえ息が苦しいのに、唇を塞がれた。
窒息寸前の状態でそれをされるとは思わなくて、呼吸ができない。

後頭部がこつん、と後ろの壁にぶつかって、逃げ場がないことを実感した。


…押しつけられた唇の感触に目を瞬く。


「…、ん゛、ん゛…っ、」


その間も性器を弄る指の動きは止まってくれなくて、上でキスされてるのに下はグチャグチャ亀頭を中心に扱かれてて堪らずに腰振っちゃうのとで苦しい。

目の前で瞼を閉じている整った顔を呆然と眺め、絶えず刺激を与えられ続ける身体はビクビクと震える。

(…なん、なんで、)

わざと、なのか、くーくんは唇を重ねたまま、前みたいに舌を入れたちゅーはしようとせず、ただキツく唇を重ねるだけだった。

だから空気を得るために唇を開くこともできない。



「…ん゛ーーー!!!」


死ぬ、死んじゃう…!!死ぬ…!!
酸素不足で真っ白になっていく視界の中、くーくんの腕を探り当て、力の入らない手で掴む。

性器を扱く手の感触さえ、遠くなる。
ぼうっと頭がなって、意識が遠くなっていく。

でも、まだ離れてくれない。
どうにか逃れようとして呻いていた声は霞んで小さくなった。


(…くーくんは、おれを殺したいのかな)

こんなんじゃ、息が、できな…


「……っ、」


そう思った瞬間、身体がビクン、と跳ねた。
離れた唇に、「…は…っ、」と息を思い切り吸って、しばらく虫のような息で呼吸を整える。
飲み込めなくて大量に唇から零れ落ちた唾液を拭う余裕さえない。


「…ひ、ひ、は、…ぁっ、し、ぬかと、おもっだ…っ!!」


楽しそうに唇の端を持ち上げているくーくんを責めるように涙目で睨みあげると、ぐっちゃぐちゃに濡れた指を舐めて意地悪そうにほくそ笑む顔。


「どうだった?窒息しそうになりながら射精した感覚は」

「…え?」


その言葉に、

下を見ると……自分の出したモノでべたべたに汚れている性器、太もも、と畳。


おれ、さっき射精、…した…?


絶望に似た感情を抱きながらそこをぼうっと眺めていると、頬に触れてくる手に驚いて首を竦める。


「…ひぁ…っ、や、」


首筋に唇で触れられて、ゆっくりとその軽く触れた柔らかい感触が首筋から耳元へと上がっていった。
そうして、耳朶をがぶりと噛まれて、小さく声をあげる。


「今のまーくんの顔、すげえエロイ」


「…好き」と耳元で囁く、低く掠れた声音。


珍しくちょっと乱暴な口調に、ドク、と心臓が跳ねた。
全身をカッと熱くするような感覚に襲われ、今まで以上に精液に熱が集まる。


「…っ、」


直後、一際大きく性器が震えて、びゅるる、と尿道から欲が吐き出された。

…さっきイッたばかりなのに、また出た。

「は、ぁ…っ、」解放感に身を震わせながら息を吐いていると、まだ熱を吐き出してる途中で、ぎゅ、と指で尿道口を塞ぐようにして先端を握られる。

びちゃびちゃに濡れたソコを掴まれて、ビク、と身体が跳ねる。

息が詰まった。


「――ッ、」

「俺に好きって言われたのが、そんなに嬉しかった?」


図星を突かれて、頬が熱くなる。

そんなおれの反応を嗤われ、先端を握られていた指が、動かされた。
中途半端に止められて精液が逆流する勢いの性器を滅茶苦茶にされる。


グリ、ヌチュヌチュ…ッ!


「ぁ、…っ、ま、…っ、あひ…っ!、まっれ、ま…ッ、い、ぁああ…ッ!!!…っ、」


(…うれしかった、)

なんて答えさせてもくれない。

射精を止められたり、出そうとさせたりする指の動きによって、その度に一喜一憂させられる敏感な性器の尿道からぴゅ、びゅる、と出る白濁液の出方がおかしい。


「…こわ、れ、ちゃ…っ、」


亀頭を弄られて、その裏筋も指でぐちゃぐちゃに指先で扱かれ、自然とぼろぼろと快感の波に涙が溢れた。(…き、…っ、も、ち、い、)頭がバカになったみたいだった。また何かが出そうで、出ない、みたいなもどかしい感覚。
腰が勝手にその動きに合わせるように揺れて、ビクン、ビクンと体が痙攣し続けている。

口から溢れた唾液がはぁ、はぁと荒く息をするおれの唇の端から零れ落ちた。


「…っ、!…っ、ぁ゛!はな、はな…っ、ひ、…ぅ…っ、は、ぁ…ッ、」

「もう痛くない?…って聞くまでもないか」


「…顔、気持ちよすぎて堪らないって顔してるよ」と耳のすぐ傍で吐息まじりに囁く色っぽく掠れた声音と、性器を擦る手から生じる音に、耳が侵食される。

言い返したいけど、それどころじゃない。
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