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よくそんなに無邪気に笑えるものだと呆れると同時に、眩しくなった。
……何かを見て、気持ちが動くその心を羨ましいと思った。
「”汚いものは、純粋で綺麗なものに惹かれる”、か…」
最近読んだ小説に書かれていた言葉を口に出してみる。
(…自分もそうやって素直に生きることができたら、なんて)
無理だとわかっていても、どうしても考えてしまう。
それと同時に、何か異様な感情が胸を一瞬通り過ぎた気がした。
「蒼、大丈夫？ちょっと休む？」
今、自分はどんな表情をしていたのだろう。
いつの間にか、心配そうにのぞき込んできていたまーくんに、首を横に振る。
思考を遮断するように一瞬目を閉じ、ぽんとその頭に手をのせて安心させるように微笑んだ。
「向こうで何か催し物をやるらしいから、行ってみない？」
さっき食べ物を買った屋台で貰った手書きのチラシを見せると。
そのチラシを食い入るように見つめて、こくこくと頷く。
…本当にわかりやすいな、まーくんは。
なんでこんなにわかりやすいんだろうって不思議に思うくらい、まーくんは顔に出る。
チラシへの食いつきっぷりには思わず小さく笑ってしまった。
俺の笑みに気づいたまーくんは、少し拗ねたように怒って。
「行こう。すぐ行こう」
でも、そうやってまた楽しそうに笑うその様子に、苦笑しながら再び手を引っ張られて歩き出した。
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音が遠ざかっていく。
その笑顔が、手の届かない場所に消えていく。
「………(…嗚呼)」
いつからだろう、この無邪気な笑顔を見なくなったのは。
もう、思い出せない。
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