蒼の変化1
***
「…ぅ、」
どこかで大きな物音が聞こえたような気がして、ふと目が覚めた。
瞼を持ち上げると、天井が見えて、ぼやける視界に数回瞬きをする。
(なんか、随分長く寝てたような…、気がする…)
目が痛い。
いつの間にか、身体の上にかけられていた布団に、多分蒼がかけてくれたんだろうな、なんて考えながら、ぼーっとそれを眺めていると。
「―――…!!」
「――――」
悲鳴のような叫び声と何かがぶつかるような大きな音が聞こえてきて、身体全体がびくりと震えた。
「ひっ」
上擦った声が喉から漏れる。
どこからそれが聞こえるのかを確かめるために、ベッドから降りようとして。
「――ッ」
足と手首に冷たい感触がして、予想もしない抵抗にバランスを崩して思い切りベッドから転げ落ちた。
やばい、一瞬変な感じに足を捻った気がする。
思い切り鼻を打ったせいで、じんじんと鈍い痛みにううと泣きそうになりながらソレをみる。
寝ている間に嵌められていたらしい手枷と足枷。
その現実感のある重みに、眉を顰める。
(…逃げておけばよかった、かもしれない)
なんて、今更ながら後悔して息を吐いた。
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