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けど、その手足には当然のように枷が嵌められていて、金具の擦る耳障りな音が響く。
「くーくんくーくんうるせえんだよ…!」
力を入れればいれるほど、骨の折れている部分にガタが来る。
…それでも…その家畜の身体は、思っていたよりもか弱くて、小さくて、…けど、やわらかくて、…腰らへんはしっかりとくびれてて、………なんつーか、変な気分になった。
けど、
「…っ、いやだ…ッ!!やだ…っ」
俺が触れた瞬間、大げさなほどにびくっと震えて、更に大きい反応を示す。
拘束から逃れようとするように暴れ、足掻いて、身体を捩じる。
あまりにも激しく暴れるから、爪が皮膚を抉ってきた。
「…ッ、おい、暴れん、」
「ぅッやだ、やだぁ!!くーくん…っ」
ガリ…ッ、
「…っ!」
「助けて!くーくん!!ッ、ぅ゛ー!ひ、っく、ぇ゛…ッ」
何をしても、俺の方なんか見やがらない。
もがいて、泣いて、手を伸ばして、
(…結局、アイツかよ…っ)
…俺様が望み通りのことをしてやったって言うのに、
”ご主人様…ッ、抱きしめて…ください…”
浮かぶ映像。光景。
あんなに前はそうしてほしいって言ったくせに、ふざけんな。
喜べよ。
あの時みたいに、”嬉しいです”って笑えよ。
なんでこうなるんだ。
(クソ。クソ。クソ…ッ!)
振り回されている手を殴る勢いで掴む。
「…お前は、…傍にいるんなら誰だっていいんだろうが!!」
「…ッ、ひ、!ぃ゛だぁあ…ッ!…はなし、はなして…ッ、」
なのに、なんでアレに固執してんだよ。
おかしいだろ。
ありえないだろ。
やけに心臓が速い気がする。
意味のわからない苛立ちに加え、拒絶されることで更に加速する。
…だって、お前は誰でもいいはずなんだ。
傍にいるなら、誰だっていいんだよな。
だったら、
「誰だっていいくせに、」
(…今抱きしめてくれる俺より、”くーくん”が良いなんて)
『…そんないっちょまえな人間みたいなことほざいてんじゃねえよ。』
そう言おうとして、でも頭の中がぐちゃぐちゃで、
「……、」
「…ッ、?!!…っふ、」
何も言わず、その口を塞いだ。
やわらかい唇に思いきり強く重ねる。
今までじたばたと抵抗していた家畜の動きが、止まった。
驚きに息を呑んだのが伝わってくる。
(……俺様に逆らおうなんて、1億年はえーんだよ)
呼吸が止まる勢いで口をぶつけたまま、身体を動かそうとする家畜の腕を引きちぎる勢いで掴み、抱き寄せた。
酸素を求めるために、ぎゅっとかたく閉じられていた唇が開く。
「…っ、ん゛ぅ…ッ……」
隙を見計らって舌を差し込み、絡ませた。
ざらりとした感覚をなぞるようにしてキスをする。
…その、一瞬後
「…っ、゛」
「よく、ない…ッ!!!」
舌を思いきり噛まれた。
そこから寒気がよだつほどの痛みが走る。
泣きじゃくりながら、掴んだ俺の手から逃れようと必死に腕を振りながら、顔を横に振った。
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