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すでに言葉と呼べるものですらなくなりかけている。


「わ゛か゛って゛た、はずなの、に…っ、しんじゃうくらい、ぐる、しぐて…っ」


手を掴まれて、片腕を持ち上げられたまま、ひく…っ、ひく…っ、としゃくりあげて肩を跳ねさせる。
顔を濡らす涙の量もはんぱじゃない量だった。


「ひ、く、むね、のおく、が、ぎゅうううってなる、けど…ッ!」


はだけた浴衣の隙間から見えるそこに、外側から見える傷はない。

しかし、


「ひ、いだ…っ、いだい…っ、」


何かを思い出したのか、激しい痛みを抑えるように胸部の辺りを掴む指先だけが力を入れすぎて白くなっていく。
身体の、震えだけが酷くなっていく。



「だ、げど…っ」

「……」

「…ッ、そ゛れ、でも、おれは、く゛ーく゛ん゛、がいい…ッ、」



…気にくわない言葉の羅列。
本来なら怒りのまま、ここで蹴り飛ばしていてもおかしくなかった。


だが、


「…っ、」


(…なんでだ)


痛みに耐えながら、潤んだ瞳から零れる涙で白い頬を濡らし続けるコイツの顔から…目が離せなかった。
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