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けど、
そんなおれに、何故かくーくんの方がなんだか動揺してるみたいで、


(いや、気のせいだ。くーくんはそれを…望んでるんだから)


おれが他の誰かと…くーくんじゃない別の男の人と抱き合って、キスをして、…それから、…股を開いて受け入れて、身体中を舐めまわされながら相手の思うように隅々まで弄ばれる。

…そんな行為をすることを望んでるんだから。



「…っ、ひ、ぅ…」


頑張ってふらふらの身体に鞭を打って立ち上がり、さっきの声の方向へと歩き出すと、



「ちょ、待って、まーく…」

「…っ、はな、じ、で…!」



何故か手を掴まれて、振り払う。


どうして。
どうして。
どうして。


ぼたぼたと足元のコンクリートに染みを作った涙に溺れながら、あらん限りの声で悲鳴にも似た叫びを吐き捨てる。



「…ちゃんとできる、って言ってるだろ…っ!!」



できる。
できるよ。

お父さんとお母さんの家にいた時みたいに、

どんな嫌な行為でも、大好きな人がそうしてほしいって言うなら、

くーくんが、おれにしろって言うなら、


…ちゃんと、できるよ。


なのに


「…ッ、…な…、んで…?」


涙を飲みこんで歩き出そうとすると、また手を掴まれる。

…おれの手が震えてるせいかもしれない。くーくんのも同じように震えてるような気がした。

ぎゅっと握られた手が、まるでそうしてほしくないって訴えてるみたいに思えて、…なんだかおかしい。


だって、



「…っ、くーくんは、おれにそうしてほしいんでしょ…?」



お母さんに、お姉さんに、…せんせいにされたこと。
そういう昔の気持ちを思い出したら、なんだか本当にできるような気がしてきた。

もうおれは散々汚くなってるんだから、今更何も変わらない。



「おれとその人に、…くーくんとお風呂入ったら、一緒にしようねって約束してたことを…させたいんだよね…?だったら…、っ!」



叫んだことに加え、涙を飲み過ぎたせいで喉が変になって、声がでなくなってきた。

…お風呂場で、おれは何を考えてたっけ。
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