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どうしようと困って、俊介のお母さんに顔を向けた。
「柊くんさえ良ければ、泊まっていってください」と優しく微笑んでくれるから、迷惑かけたら嫌だなと躊躇う。
結局「とまってけー」と抱き付いてきた五郎君の一言で、お願いしますと頭を下げることになった。
その後は、俊介のお母さんが作ってくれたオムライスを食べながら、皆で色々なことを話した。
皆で笑いながら食べるオムライスの味は何故かとても懐かしくて。
…こんな家庭にいられたら幸せだろうななんて考えていたら、……無意識に泣いていたらしい。
「大丈夫か」と言ってくれる俊介を安心させるように笑いながら首を振って、それでも止まらない涙に自分でも驚いていた。
「ご、ごめん」本当、こんなことでいきなり泣き出すなんて、頭のおかしい人間だと思われてしまう。
ご飯の最中なのに、俊介の家族にとても心配させてしまった。申し訳ない。
……でも、そんなあたたかい家族を、とても羨ましいと思った。
―――――――――
就寝時。
「…本当にそっちでいいのか?」
風呂に入らせてもらって、パジャマは俊介のものをかりた。
ちょっと大きいけど、それでも貸してもらえるだけありがたい。
俊介は自分のベッドをかしてくれると言ってくれたけど、慣れた敷き布団がいいと言えば、渋々ベッドに戻った。
「じゃ、消すぞ」と言う声とともにぱちりと電気が消されて、部屋が真っ暗になる。
「……」
枕をぎゅっと抱きしめながら、ひたすら暗闇の中に見える棚を見つめ続ける。
……誰かと一緒の部屋で寝るのって、中学三年の修学旅行以来だ。
(…蒼は今、何してるのかな)
寝てるよな、多分。
1時を過ぎた時計の針を見て、ふっと息を吐く。
あの時一緒にいてくれた蒼が、今はいない。
「……」
ふいに、そのことを実感して胸が締め付けられるような寂しさに駆られた。
たまに道路から聞こえる車の音と、部屋の中で鳴る小さな秒針の動く音。
静かだ。
「…(今、)」
俊介に声、かけていいかな。
もう、寝ちゃったかな。
悩みながら、枕をぎゅっと抱きしめていると俊介の声が聞こえる。
「何?眠れないのか?」
「う、うん」
もぞもぞしてたせいでおこしてしまったらしい。
申し訳ないと心苦しくなりながら、「あ、あの」と声をかけて緊張する。
俊介なら、いいっていってくれるかも。
でも友達にこんなこと頼むのって…どうなんだろう。嫌がられたらどうしよう。
”好き”って一度言ってくれただけに、今日”嫌い”になられたくない。
「…なにー?」
眠そうにくわっと欠伸をする俊介に、勇気を出して、息を吸った。
「………一緒の布団で、寝てもいい?」
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