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「…っ、ぅあ、ぁああああ…!!!」


こわい。
こわい。

   こわい。

目の奥の神経がちぎれそうなくらいに痛くて。
胸だけでも充分すぎるぐらいで、死んじゃうかと思うほどの痛みだったのに、今度は眼球まで潰れそうになる。

困惑して恐怖する意思と無関係に異様に涙が溢れ出てくる。

手で覆っても、頭を振っても痛みがとまらない。

目が痛いのか、胸が痛いのか、もう身体全部が、わけのわからない鋭利な刃物で刺されてるみたいで


こわい。

こわい。

たすけて。

こわい、すべてが、なにもかもが、


「…――まーくん…っ、!!」

「…っ、」


見えない視界で、また振り払ったはずの手を、冷静とはかけ離れた…酷く乱れて焦った声と同時に強く掴まれる。

まっくらでも、すぐにわかった。

(…くーくん  の、)


「…っ、ぁ、」


すぐにそのまま手を引かれ、何かを言う間もなく、

…抱き締められた。

呼吸が聞こえそうな程、密着する身体。
腕の中に閉じ込めるように、パニックになるおれを安心させるように、強く、強く抱きしめられる。


「大丈夫。大丈夫だから。ごめん。俺が悪い。全部悪いってわかってるから、だから、」

「……っ、く、」


ずっと泣いてわけがわからなくなってたおれよりもなぜか震えてて、

でも、そうやって怯える自分のことよりも、いつもおれの心配ばっかりしてて。

縋るようなその声に、腕に、必死なその口調に、

……一瞬、昔に戻った感覚に襲われた。

目の前が真っ暗に塗りつぶされてるからかもしれない。

夜、おれが一番不安だったとき、怖かったとき、こうやってぎゅってしてもらうだけで凄く安心した。


(くーくんだけはおれの傍にいてくれる。

おれを傷つけたり、裏切ったりしない。

何の役にもたてないだめなおれを、好き でいてくれるんだって)
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