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「きもち、い゛…ッ、もっろ、もっ、ろ゛…ッ」
「……今のまーくん、最高に可愛いよ」
気持ちいい。気持ちいい。もっとぐちゃぐちゃにしてほしい。
めちゃくちゃにされたい。
自分の声だと認めたくなくなるほどの、甘く快感に酔っている、みっともない声。
熱に浮かされた、淫らな喘ぎ声。
違う。
こんなの俺じゃない。
そう少し残った理性が否定しているのに、身体は無意識に快楽を求めようと、腰を突き出していた。
ガクガク腰を振れば、ベッドに尻が押し付けられて肚に入ったぼこぼこが、ぐちゃぐちゃに蕩けた肉壁の締め付けに抗いながら擦って抉って、肚の奥を押し潰してきた。
「ぁ…っぁ、あぁ゛あ…ッ!!ひっ、んん゛ぅ゛……、!」
「泡立つぐらいドロドロになってる」
ひんやり冷たい何かが性器を包む。……蒼の、手?それだけでくちゅっと水音が聞こえる。
それだけで、くちゅっと水音が聞こえる。
尿道の中に入ってる棒なんか構わずに、性器を片手で鷲掴みにされてグニュグニュとめちゃくちゃに揉まれる。
全身に快感の電気が走った。
ぶるぶると身体が痙攣する。震える。絶えず細かい収縮と痙攣を繰り返して狂う。視界が、飛ぶ。
「ぁ…ッ、や…っ、やだぁああ…ッぁ、ひ…!!だめぇ゛ええ…っ、づら、も、づら、ぃ゛、…っ、…ぅ、ゔ〜〜っ!!」
「だめ、なんて嘘ついたまーくんにお仕置き」
「う、ゔゔ、…ッ、ぐ…っ、も、ぎ…ッ、ぅ、ぁぁあ゛ああ…ッ!」
乱雑に片手で棒の入った性器を棒ごとグチュグチュと音を立てて扱かれながら、パンパンにはれた陰嚢をもみもみされてゆさゆさ揺さぶられる。
気持ちよすぎて、視界が真っ白になる。
叫びにも似た喘ぎ声が何度も口から漏れた。
「ちゃんとイイ子にしてれば、すぐにもっと気持ちよくなれるよ」
「…っ、ぁ゛、は…っ、…いい、こ…?」
ヌルヌルと指の腹で亀頭を優しく撫でまわされ、涙を流して息も絶え絶えにその言葉を繰り返した。
相変わらず、真っ暗な視界の中で声の聞こえる方に問うように言葉を漏らす。
「…うん。イイ子」
髪に何かが触れる。
慈しむように撫でて触れてくるその優しい手に、無意識に気が緩んでしまう。
髪を撫でる手に、頬を緩める。
でも、次の言葉で地獄に落とされたような気分になった。
温かく優しい声のまま、彼は残酷な言葉を口にした。
「もし、そのままで五時間気を失わずに耐えることが出来たらご褒美あげるから」
「え…、」
緩んだ気持ちの分、思考が鈍っていて、その言葉を理解するまでに時間がかかる。
絶句する。
こんな状態で、五時間も、このまま…?
ほてった顔から血の気が引くような思いに駆られる。
尿道に突っ込まれたままじゃ、射精はできない。
それを分かったうえで蒼は言ってるんだろう。
でも、でも、
何度も射精して、おかしくなったと恐怖するほど際限なく勃起して、気持ち良さにどろどろになったまま今にも射精しそうな赤黒い性器を思い浮かべて。
(無理…ッ、無理だ…)
死ぬ。五時間なんて、死んじゃう。
「あおい…ッ、あおいいっ」
助けて、やめて、こんな酷いことしないで。
ぼろぼろと緩む涙腺がとめどなく涙をこぼして、子どものように泣きじゃくりながら、蒼に手を伸ばそうとして、鎖に妨げられる。
もう、何でもいいから、他のことなら何でもするから、蒼に助けてほしい。
俺に、こんなことしないでほしい。
「あー、泣いちゃった」
「…っ、ひ…ッく…っ、あおい…っ」
そんな苦笑交じりの声とともに、伸ばした手をとられて、指と指をきゅっと絡められる。
恋人つなぎ。汗ばんで熱い俺の手に対して、少し大きくて冷たい蒼の手は凄く気持ちが良い。
ずっとこうしていたい。もっと、触れていたい。
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