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「まーくんの手、熱い」

「あおい…ッ、かゆい…っ、たすけ、」


全身が、乳首が、性器の中が、後孔が、全部熱い。痒い。
全てが刺激を求めて、ビクビクと痙攣している。
ぐちゃぐちゃに蕩けさせられるのを望んでいる。

持て余したような笑みを零す気配に、そっちの方に顔を向けて縋るように助けを乞う。

助けて。助けて。

そんな俺の必死の懇願に対して、彼は酷く上機嫌な声でこたえた。


「だーめ」

「な、なんで…っ、ひぅ…っ」


意地悪な甘い声音に抗議しようとすれば、浮かんだ鎖骨に舌を這わせられて優しく噛まれた。ビクッと身体が震える。

気持ちいい。

そう思った瞬間、下腹部全体がきゅーって痺れて、一気に性器に熱が集まった。びくんびくんと身体が痙攣する。足に力が入った。


「ぁッ、?え、や、……ぐ、ぅ゙……―ッ」

「へ、」


ビクッ、ビクッと尻穴を、肚の中を締め付けながらイッた後の快感で頭が痺れる。
性器に感じていた圧迫感がすこし和らいだ。
身体から力が抜けて、くたりとベッドに身体を預ける。と同時に驚いたような声が聞こえて、その反応の意味を理解して、狼狽する。


「は、…っ、は…っ、ぅ、ゔ、…なん、れ…っ、」


(イッた…?)

尿道に棒みたいなものをつっこまれて、精液が出るはずのそこに栓をされてるのに、イッた感覚があった。
どうやって、なんで、イけたんだ。


「あーもう、…可愛すぎる」


何がそんなに嬉しいのか、耳にしたこっちが思わず魅了されてしまいそうなほど低く甘い吐息を漏らす蒼に、ちゅ、と額に口づけられた。
鎖骨舐めただけでイッちゃったんだ。と揶揄うような口調に、頬がかっと熱くなる。


「ち、ちが…ッ」


おかしい。こんなのありえない。それだけでイクなんて、そんなことあるわけない。

…でも、今俺が目に見えてイッたのも事実で、言いようのない感情を抑えるように、せめて態度だけでも抵抗しようと顔を背ける。


「…ぁっ、う、ゔゔ…っ、」


そんな動作でさえ、動くたびに身体がシーツに擦れて、肌にシーツが擦れるたびに下半身が反応する。
本当に全身がおかしくなってる。


「こっちにも塗ったら、どうなっちゃうんだろうな」

「…ひ…ッや、やめ…」


耳元で低く掠れた囁きが聞こえる。
その声を聞いて、身体は熱いのに何故か悪寒が走るような、そんな嫌な予感がして、意識するより先に喉の奥から悲鳴が漏れた。

くちゅ、と湿った何かが耳を這う。

耳の縁を移動していくソレに、ふるふると小さく身体が震えた。
それが舌だと気づいた瞬間、また耳朶を軽く甘噛みされた。



「ぃ…っ、ぁ、ぁ゛っ、あ゛ぅっ、ひ、ぐ――っ」

「…本当、やばいくらい可愛いな。…もっと前に、こうしておけばよかった」


痛みと同時に、電気が身体を走ったような快感。
ひくひくと後孔も震えているのがわかる。
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