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視線の先を追えば、おれの腕に巻かれた包帯だった。
「さっき手当てしたばっかりなのに、また滲んできてる」
持ち上げられた手。
…その、血を零している傷口部分を舌でなぞ られ
「…っ、ぁ゛、ぅ、」
びりびりとした痛みと
こっちに視線だけを向ける彼の艶めかしい…えっちな、けど大人の男の人って感じの表情に、…ごく、と唾を飲み、目を逸らす。
「ほっぺたが赤くなったのは、…俺を好きだから?」
「…っ、」
図星を当てられて、びくっと震える。
今度は、怖いからじゃない。
こうして、二番目ってわかってても好きだって思ってしまう自分の気持ちを、ばれたくないからだ。
「まーくん、」
するりと指を絡められ、きゅって繋げられて、
「…っ、…ぁ、う、」
吐息が触れる。
唇が重なる一歩手前。
そんなぎりぎりの距離で問いかけられ、軽く瞼を伏せている整った顔に…じっと催促するように見つめられてしまえば、「……す…き、だから…」と逆らえずに答えてしまう。
…と、
ご褒美とでも言うように重なる唇に、…全身はあっけなく歓喜の感情を訴えた。
心臓がぎゅーーーって痛い。
けど、嬉しい。
キス、くーくんとできて、幸せでたまらない。
「もっと泣いて」
「…え、…?」
哀しいのか、嬉しいのか、
きっと後者の気持ちが溢れるあまり、へにゃっと顔を歪めてぼろぼろ涙を流すおれの頬を包むように触れる両手。
「俺のために、…俺しか見えなくなるくらい痛みを感じて」
一番にはしてくれない。
けど、おれを離そうともしない彼は、祈るように再び唇を塞いできた。
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おれとくーくんは
あの日の【まーくん】と【くーくん】のはずなのに。
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