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今回だって、怪我をしていたことがそれとつながっているのかわからないけど、もし関係しているなら俺のせいで誰かを少しでも危険な目に遭わせたくない。


「…その、教えてくれる?」

「うん!」


前に俊介と来た店で、ジュースを飲む板本君に尋ねる。

そういえば、前に俊介と一緒にここに来た時のことを思い出して懐かしくなった。


「まずね、知ってるかもしれないけど蒼様は午後から出席してたんだ。…ていっても6限目だけなんだけど」

「…6限目」


その言葉を呟いて、先を促すように頷く。
板本君は何かの紙の資料のようなものを取り出して、ぱらぱらとめくった。


「それで、最初に会ったときから蒼様について知りたくてたまらなくて、ずーっと僕の家の者に調べさせてたのもあってね。今回の報告はその一部なんだけど…」

「…ぁ、え……?」


一瞬で色々な情報が耳を通り過ぎていって、おいていかれた。
家の者に調べさせた…?報告の一部…?


「今柊君が疑問に思ってることは、知らない方がいいことばっかりだと思う」

「どう、いう…、」

「とにかく、僕の家が結構なお金持ちだから調べる手段があるんだ」


思わず疑問を零せば、にこりと板本君は笑って先を続ける。

…すごいな。もしかして探偵とか雇えるのかな。
遠い世界すぎて、呆気に取られた。


「まず、2組に佐竹琢磨って男子生徒がいるんだけど。この数日…蒼様が午前中いなかった日からずっと風邪で休んでるんだ」

「……さたけ、たくま…」


ぽつりと呟いてみる。
聞いたことない名前だな、と思っていたら、声は心の声を詠んだように答えた。


「報告によると、柊君をストーカーしてた男の協力者?だったみたいだね。この人」

「…っ、」


その言葉に、反射的に身体が震える。
…鮮明にあの時の声、感触が蘇ってきて気持ち悪くなった。

でも首を振って、今はそのことを考えるべきではないと頭の中から追い出す。


「それで、その男子生徒は、何故かまだ授業があるのに一人で学校を出ていったんだ」

「……」
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