25


その後、男子生徒が学校の外で蒼と会っていたこと。
一度二人は別れたにも関わらず、男子生徒が年上の男とともに蒼の屋敷を訪れ、中に招き入れられていたということを教えてくれた。

……板本君によると、(何故わかるのかは教えてくれなかったけど)その男は確実に俺をストーカーしていた男で間違いないらしい。

「で、柊君を追う人は誰もいなくなった…と」と続ける板本君に、「うん」と頷く。

どうして俺の悩みの原因を知ることが出来たのかわからないけど、蒼が俺のために色々してくれていたことはわかった。

それと同時に、やっぱりこうやって蒼が俺に内緒でこんなことをするのは俺が頼りないからだろうと思って酷く悲しくなる。

なんであの時、俺は素直に話さなかったんだろう。もしも朝何があったか打ち明けていたとしたら、蒼は一人で何かしようとしなかったかもしれないのに。

そう考えると結局自分では何も解決できなかったくせに、あの時に自分のことくらい自分でできるようになると決意した自分がどうしようもなく恥ずかしい。

(……ばかみたいだ。俺)

こんなの、友達じゃない。
…ただ、一方的に俺が助けられてる、守られてるだけだ。

俺だって、自分のことくらい…自分で守れる…と思ってる。

それなのに、自分が蒼にすごく迷惑をかけていたんだということを実感してどうしようもない罪悪感と羞恥心に頭を上げることができなかった。

結果的に俺が今普通に過ごせているということは、蒼がその人たちと話をしてやめるように説得してくれたんだろう。


「でも、確かに蒼様の家に入って言ったはずなのに、出ていったところを目撃されてないんだ。それなのに、”風邪により欠席”になってる」


「もう一人の男の人も、それからの情報が一切ないし。どういうことだろ」と首を傾げる板本君に、俺も考えてみる。

……確かに、そうなるとその人達は一体どこに行ったのだろう。
少なくとも同じ学校の男子の方は、家から出てないらしいのに”風邪で欠席”になってるなんて、…


「でもそこからがどうなったのかよくわかんなくて、もうちょっと調べてみるよ」


その板本君の言葉にお礼を言えば、「ううん。僕も興味があったから」と笑って首を振った。
prev next


[back][TOP]栞を挟む